GLASS

木村硝子

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“普通”だからこそ際立つ繊細な技術

作り込まれたデザイン、または多彩な機能が備わっているアイテムは、その美しさや新鮮さに誰もが目を奪われることでしょう。逆に、見た目が至極シンプルであればあるほど、ついついそのアイテムの本質を見落としがちです。どちらも素晴らしいアイテムに変わりはありませんが、後者も深く知ることにより、他のアイテムもまた違った視点で見ることができるでしょう。こちらの木村硝子のグラスは、半世紀以上も変わらぬ趣を維持しながら現在まで作り続けられています。こちらのオリジナルは、1950年、木村硝子二代目の木村信行氏が、割烹料理店や旅館の要請を受けて仕上げられたもの。非常に薄く仕上げられたガラスの厚みが特徴で、その驚異的な技術は手にしてより実感するはず。こちらは、その魅力を損なわないよう、現在の木村武史氏の代でさらに使いやすい大きさへとリサイズしたコンパクトシリーズ。これらのアイテムすべてのモデル名には“薄底磨(うすぞこみがき)”とつけられています。“磨く”とは、業界では“研磨する”の意。これまでの一般的なグラスは、薄く仕上げるなかで底が厚くなってしまったり、また厚みが均一でなかったり、さらには底部に丸い跡ができたりと、様々な問題が頻出しましたが、丁寧な研磨によって解消していったのです。想像通り、仕上げには職人の技量が大きく関与してきますが、その粋を結集させた逸品といえるでしょう。それもあってか、2014年のグッドデザイン賞では、ロングライフデザイン賞を受賞。美しいフォルムは惚れ惚れするほどで、手にもしっかりと馴染み、抜群の使い心地から決して逃れられません。そのプレーンな趣は、今後も変わることはないでしょう。そして、グラスのもつ魅力を永続的に発揮していくに違いないのです。

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