COASTER

丸川商店

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モノ作りへの情熱と地元への愛が生んだ伝統工芸品

ニット、シャツ、そしてジーンズ。今でこそ紡績技術が発展し、日本各地で独自の“カラー”をいかしたアイテムが作り続けられています。その伝統と実力を知ることは、世界が称賛する日本のモノ作りを語る上で重要なこと。中でも三重県松坂市は、遥か昔の5世紀後半に、初めて紡織の基礎が伝えられたとされる由緒正しき場所です。その歴史は華やかで、698年には織物が伊勢神宮への奉納を義務付けられ、16世紀初頭に誕生した松阪木綿は、江戸で年間50数万反を売り上げるほどの人気を誇りました。その数は、当時の江戸の人口の約半分に相当すると言われています。ただ、着物を着ることが稀となった今、その歴史を知る者は数少ないでしょう。しかし、丸川商店のアイテムを手に取れば、崇高なその文化の一端に触れることができるのです。丸川商店は、店主、丸川竜也氏が自身の故郷である三重県の伝統工芸の再興を想い立ち上げたブランド。その中心を担うのが、現在紡織習俗として国の無形民俗文化財にも指定されているこちらの松阪木綿です。特徴のひとつがこの縦縞、通称“松坂縞”。そのルーツはベトナムから伝わってきた“柳条布(りゅうじょうふ)”とされ、遠目からみると無地に見えるその繊細な罫線は、飾り立てずともさり気なく主張する色気や、さっぱりとした言動を良しとする江戸庶民にとっては“粋”の象徴でした。現在でも、歌舞伎の世界で縞の着物に袖を通すことを「マツサカを着る」と呼ぶそうですが、その伝統からも松坂木綿が当時どれだけ影響力をもっていたかを推測する習わしといえるでしょう。正藍染めの糸で織られ、洗うほどに藍の深みが際立つ濃淡の縞を連ならせたデザインは、今も色褪せず我々の目を惹きつけます。そのままグラスの下に滑り込ませるのもいいでしょう。または、置物の下に敷くのも悪くありません。日々の生活の中で、日本古来の伝統と素晴らしさをこのアイテムは語りかけてくれるのです。そして、我々は日本を、そして自分の故郷をより愛おしく思えることでしょう。しるべ¥400(+TAX)

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