PAPER KNIFE

Lue

BOOKMARK

さり気ない“オブジェ”が生活に豊かさを届ける

道具において、便利であることは絶対的正義。技術の進歩は、ストイックなまでの徹底的探求心に他なりません。そこに疑いの余地はありませんが、ひとつ解釈を間違えればモノの本質から足を踏み外す危険性もはらんでいます。利便性のひとつの要素として効率性は存在しますが、決してイコールで結びつくことはありません。封書を受け取った際、その封を切る時に使われるのはハサミやカッターが通例で、ペーパーナイフを使っている方は少ないでしょう。それは、切れ味鋭いハサミやカッターの利便性を活用した効率化。ただ、それでもなおペーパーナイフに対する思いは失われず、今もなお活用している大人たちがいるのは、そこに優雅さや気品、そして余裕や美しさを見出しているからではないでしょうか。モノの本質も、実はそこにあるような気がしてなりません。それを端的に表しているのがLueの真鍮雑貨。岡山県瀬戸市で丹念に作られているこちらは、そのほとんどがオールハンドメイド。人間の手、作り手の想いといった温度が感じられ、独特なタッチや趣はまるでひとつのオブジェのようです。たたく、切る、折り曲げるといったひとつひとつの動作によって表情を変え、時間を追うごとに落ち着いた色味へ変化していく真鍮は、やはり人間の手により作られなければこれほど特徴をとらえた作品に仕上げることはできません。こちらのペーパーナイフも同じこと。持ち手は握りやすい大きさに削り出された丈夫な天然木を使用。そこへ設えた真鍮の歯は、スムーズな切り出しを促し、ゴールドにはないシブさを演じながら美しさを周りへと振りまきます。精巧に象られたシャープなフォルムは、デスクに置いておくだけでも上質な雰囲気を演出。大人たちが求めるものを表現し、そしてモノの在り方を改めて教えてくれる一本はきっと後世にまで伝えられていくことでしょう。

TAGS:
 daily STANDARD一覧に戻る

pickup JOURNALS