MORTAR

山只華陶苑

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ゼロから生み出す苦悩の末に辿りついた境地

暗闇を手探り状態で進みながらも、独自の道を切り拓いてきた開拓者や先駆者はいつの時代も偉大です。1900年代初頭に喪服としてのイメージしかなかった黒をファッションに取り入れたココ・シャネルや、ストーリーテリングの手法をラップに用いたスリック・リックなど、その独創性と発想力、そしてそれを行動に移すバイタリティと勇気は、悲観的だった周囲の声を称賛に替えてきました。江戸時代に活躍した陶芸家、初代藤兵衛もそのひとりと言えるでしょう。彼が生前、常に大切にしてきたこと、それは“何もないところから生み出す”ということでした。彼の想いと哲学は、屋号である“山只”に凝縮され、今でも脈々と引き継がれています。それは、国際的な陶芸コンテスト「長三賞展」大賞受賞など、数多くの賞を総なめにしてきた気鋭陶芸家であり、藤兵衛窯7代目でもある加藤智也氏の作品を見れば一目瞭然。中でも、長年の研究の末に生み出した、“波紋節目”があしらわれたすり鉢はあまりにも有名。こちらを作り上げるまでに8年もの歳月を費やしました。通常、すり鉢の内側に施される文様は、直線で表現されるのが一般的。それを流麗かつ華麗な曲線で描いたのが“波紋節目”。見た目の美しさだけでなく、摺っている際に材料が上に逃げることを抑え、よりキメの細かい摺りあがりを実現させます。さらには、右回しでも左回しでも高いレベルで摺ることが可能なのです。伝統を重んじながらも、これまでにない革新的アプローチで生み出したこれまでにないすり鉢。私たちはそこに大きな魅力と偉大さを見るはずです。そして、使っていくほどにそれを実感することでしょう。すり鉢¥6,000(+TAX) [THE COVER NIPPON] TEL 03-5413-0658

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