RICE BOWL

小鹿田焼

BOOKMARK

“用の美”を備えた価値ある民芸品

車、電化製品、IT、ファッション...。今、あらゆる分野において、再びその“ジャパンクオリティ”に世界の目が向き始めています。国内でも、匠の技、地方で長きにわたり培われてきた伝統美を再び見直す動きが出てきました。ただ、同様の動きが実は100年ほど前にもあったのです。それこそ、思想家であり美学者でもあった柳宗悦を中心に起こった民藝運動。彼らは、芸術的価値を追求した作品ではなく、希少性の高い古美術でもない、無名の職人たちの手で作られた民衆的美術工芸の美を発掘し広く紹介したのでした。そのひとつがこちらの小鹿田(おんた)焼です。発祥は大分県日田市で、江戸時代中期にその時の生活雑器を賄うために起こされたもの。山間部に位置する土地柄、さほど外部からの影響を受けなかったこともあり一子相伝で伝承され、土も当然現地のものを使用してきました。川の流れを利用する“「唐臼(からうす)”で、一ヶ月近くもついた土で大切に作られてきたのです。その代表的技法として知られる飛び鉋(かんな)は、成形した茶碗に化粧土を施し、ろくろでまわしながら鉋の先を当てがい削っていく手法。幾何学的に並んだその文様は、匠の技を如実に表し、素朴さや温もりを伝えるとともにどこかモダンさも感じさせます。民藝運動の父、柳宗悦をも魅了した美しさは、時の流れに逆らうかのようにいつまでもその器に宿り続けることでしょう。そして、今後も私たちの生活に深く関わっていくはずです。

TAGS:
 daily STANDARD一覧に戻る

pickup JOURNALS