62 JUNJI TANIGAWA

谷川じゅんじさんの集めるさまざまな椅子

写真:竹内一将 文:林理永
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谷川じゅんじさんの集めるさまざまな椅子
「座る椅子が変わると、過ごす時間も発することばも生まれるアイデアも変わります」。そう語るのは、JTQ代表/スペースコンポーザーの谷川じゅんじ氏。次々と新しいアイディアを生み出し、美しくも興趣の尽きない空間を世に送り出し続けてきた彼にとって“椅子”はとても大切な愛すべき道具でありかけがえのないパートナーだ。

 「特定の椅子がアイディアを閃く鍵になっているとか、そういうことじゃなくて、単に、自分の身体に直接影響する身近な環境は会話やコミュニケーションを支配する、ということなんです。やっぱりテーブルにしっかりと腰を据えて座るのと、ソファにリラックスして座るのとでは、発言が変わりますからね。だから椅子は、人間にとってかなり強い影響力を持った道具だと思っています」。
  例えば、東京から横浜に行くとしても、電車や車、バス…と、ルートが沢山あって、どう行くかによってムードがガラリと変わる。アイディアもそれによく似ているのだと、谷川氏は言う。「つまり、物事への辿り着き方は何通りもあるんです。最終目的地は一緒でも、経路が変わることによって生まれるものは変わる。椅子を変えることは、かなりそれに近いと思います」。確かに彼の事務所の中には、仕事用のかっちりとした椅子から少し変わった椅子、ふかふかのソファと、さまざまな種類の椅子がある。「すごく良いモノも、そうでもないモノも色々混ざっているんですよね。でも「違う」っていうことにすごく意味があるんです。もちろん会議も “どこで行い、誰がどの席に座るか”を重要視しています。国際会議でもそうでしょう。丸いテーブルなら友好的な話だし、四角いテーブルなら面と向かって厳しい会議をする。あれは、実は全部最初から話の方向をある程度定めているんですよ」。

 「まぁでも、そんな空間とアイディアの関係を抜きにしても、椅子が好きなんですよ、とにかく」。いまは一旦落ち着いたというが、どんどん新しい椅子を買い足す谷川氏の椅子好きには、周囲も呆れるほどだという。「椅子ってとにかく場所を取るので、あんまり集めると嫌がられて、スタッフにも「もうこれ以上椅子いりません」って言われちゃう。だから今はセーブしてます」。
 そう言って笑う谷川氏の数多ある椅子コレクションのなかから、今回は、とくに気に入っている椅子を5脚、そのエピソードを交えて紹介してもらった。

about him

Creative Director
谷川じゅんじ

スペースコンポーザー。JTQ株式会社代表。1965年生まれ。2002年、空間クリエイティブカンパニー・JTQを設立。「空間をメディアにしたメッセージの伝達」をテーマにイベント、エキシビジョン、インスタレーション、商空間開発など目的にあわせたコミュニケーションコンテクストを構築、デザインと機能の二面からクリエイティブ・ディレクションを行う。


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