ART AND ARTIST

アンドレアス・ラスロー・コンラス
自分自身の陳腐なダミーになんてならない

取材・文:須々田 美和 (Dashwood Books)
編集:Mirror カバーデザイン:菅谷幸生
BOOKMARK
アンドレアス・ラスロー・コンラス<br />自分自身の陳腐なダミーになんてならない

NYのノーホーで良質な写真/作品集を揃えるブックショップ「Dashwood Books」のマネージャーを務め、アート・写真に造詣が深い須々田 美和さんのアーティスト・インタビュー連載。アートと日常の間に横たわる大きな溝を埋めるのはそう簡単なことじゃない。しかし、アーティストとして自己表現を続ける生き方は確かに存在する。アートとは? アーティストとは? 彼らの意志の片鱗に触れ、存在を少しだけ手繰り寄せるための対話を訊いた。

Andreas Laszlo Konrath

実力社会のニューヨークでは、各業界で特にトップで活躍している人ほど、猛烈に仕事に打ち込んでいます。イギリス出身の写真家のアンドレアス・ラスロー・コンラスも同様に仕事の鬼です。彼らの猛烈な仕事ぶりを側で見ることができる私は本当に恵まれていて実に多くのことを学んでいます。最近彼らと接して得たことで、一番肝に銘じているのは、「Don’t be judgmental (自分の狭い許容範囲内で人の考えを拒絶することはやめる)」です。自分が正しいと思うことや良いと思うことだけが絶対的であると考えてしまい、他の人の意見を認めてあげる寛大さに欠け、精神的に孤立してしまうことがあります。日々、しっかりしようと気張るほど、自分のテリトリー以外の考え方を受けつけなくなりがちです。自分自身のものの考え方は、確固として持ちつつ、それ以外の感じ方や考え方があることを決して否定しないことに気をつけています。年を重ねても、学ぶことが多くもっとゆっくりとした気持ちを持てるようになりたいものです。

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アンドレアスの作品を最初に知ったのは、今から5年前の2009年となります。『Made in Brooklyn』『My Generation』『J.O.E.』の各50部で制作された手作りのジンを見せてもらったことがきっかけでした。どの作品も10代、20代の少年を撮ったポートレイトで 50年代にオランダで活躍したヨハン・ファン・デル・クーケンの写真を彷彿する青年期のナイーブな切なさに溢れ、すぐにその美しさに惹かれました。ダシュウッドから発売されたフィンランドのスケーターのポートレイトを含め、それ以後も5冊以上写真集を制作していますが、主題は決まって10代中頃から20代前半までの少年で、スケートボード、パンクなどのユースカルチャーが中心です。作品の一貫性が業界で評判となり、ニューヨークの気鋭の作家を抱えるエージェンシー、M.A.Pに所属が決定し、またニューヨークで大きな権威を誇るギャラリーの一つ、David Zwiner (Raymond Pettibon: To Wit)で展示会風景の撮影を担当する仕事を得ました。最近では、Zwinerの人気作家のレイモンド・ペティボンの図録撮影も行っています。また、2009年にはパウ・ワウ・パブリケーション(Pau Wau Publications)を立ち上げ、少数部数のアーティスト・ブックスを通してアメリカ・ヨーロッパの写真家の作品を発表しています。

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少年のポートレイトでブレイクしたアンドレアスですが、自身のトレードマークともなった作品のスタイルを今後も続けていくのかと聞いたところ、「No way. It would be the worst if you follow the other expectation and take your next path.(それはありえないね。誰かが期待することに従って自分の進む道を(次にやることを)決めるなんて最悪だよ。)」と一蹴されました。ただ青年期にこだわるのは、自分の作品のインスピレーションが青年期に見た経験、例えば、映画、雑誌、スケートボード、パンクにあると話してくれました。そして実は自分が10代の頃、背が非常に低く痩せすぎていて、同級生にいじめられた経験が影響していると思うとこっそり教えてくれました。(今は、180センチを超える長身です)自身の経験が、作品内の青年を見る眼差しの中に潜むために、アンドレアスの作品に心が揺さぶられるのかもしれません。

アンドレアスの作家としての出発、主題を決めるまでの過程、現在、手がけているパウ・ワウ・パブリケーションからの日本の若手作家の写真集(私がキューレションを担当させて頂いています。今年末に発売されます。乞うご期待!)などについて、色々とお話しを伺いました

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VOICE of Andreas Laszlo Konrath

「僕はワーカホリックなんだ。ハンガリー人の建築家の父親の影響かもしれないね。仕事をこなした後には、成し遂げた充足感より、もっともっと良い仕事をしなくてはという焦燥感に苛まれる気分に襲われるんだ」

須々田:アンドレアス、今日は忙しい中時間を割いてインタビューに付き合ってくれてありがとう。まず最初に、どのような経緯を経て写真家になることを目指したの?

Miwa: Please tell me how you started taking a photo and decided to become a photographer.

アンドレアス:僕はロンドンから少し離れた街で育ったんだけど、18歳の時に初めて大学の教養課程で写真について学んだんだ。でも、それ以前に僕は10代のからバンドをやったり、スケボー( Thrasher and Slap )やパンク雑誌を読み耽っていて、雑誌から多くのインスピレーションを常に得ていたんだ。特に、 トービン・イェランド や ブライアン・ゲイバーマン のスケーターの写真は最高だよね。それから、グレン・ フリードマン の ビースティーボーイズ のアルバムカバーも大好きで、フリードマンの写真からストリートカルチャーを学んだよ。例えば Dog Town,や、 Minor Threat やBlack Flagなどのハード・コアのパンクとかね。14歳の時に見たラリー・クラークの「キッズ」は、雑誌やビデオで見た多くのスケーターや、クリエーターが起用されていたから、特に好きだったな。それから、ラリーの写真集を見るようになって、自分の周りを見る目が変わったように思うよ。その頃見たもの、感じたこと、経験したことは、その当時はもちろん気づかなかったけど、その後の自分の人生に影響を及ぼしているんだって気がつくよね。

大学でアートを専攻して リチャード・ビリンガム、 ニック・ワプリントン、 ローレン・グリンフィールド、 ナン・ゴールディンとかの写真作品の虜になったな。トーマス・ルフや彼の教え子の作品に対するアプローチとかも興味深く学んだし、自分の今の作風に影響を与えたと思うよ。

Andreas: I discovered photography at 18 years of age while studying my art foundation course at college in England. I think I had already been immersed in visual imagery prior to this as I was an avid skateboarder and also played music in my teenage years – inherently a lot of my early influences revolve around these endeavors, and the type of photographs that accompany both. I loved skate magazines like Thrasher and Slap, and really enjoyed the early photos from Tobin Yelland and Brian Gaberman. I was also really into Glen E. Friedman’s work from looking at the early Beastie Boys albums, and then discovering his skate and band stuff; all the Dog Town images as well as the hardcore punk imagery from Minor Threat and Black Flag was really inspiring to me. I had also been really interested in Larry Clark after watching Kids when I was about 14 years old – since he cast a lot of skateboarders that I was aware of from the magazines and skate videos. Later discovering his photography really changed the way I looked at things. I think everything I was looking at in my teenage years was hugely influential even though at the time it maybe wasn’t apparent how it would effect me later when actually discovering a camera of my own. Then naturally while studying my foundation at college and then my BA in Fine Art at University, I gained access to much more stimulation and so photographers like Richard Billingham, Nick Waplington, Lauren Greenfield and Nan Goldin all had a huge impact on me – their work really moved me. Thomas Ruff and his approach to portraits from his series on fellow classmates from his university also hugely inspired me.

Andreas Laszlo Konrath
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須々田:どうしてあなたの作品は少年ばかりが出てくるのですか?

Miwa: I notice that the majority of your work is portrait of boys and you are pretty known for taking a photo of adolescents.  Why do you feel attracted to make this type of work?

アンドレアス:筋の通る返答ができないかもしれないな。だって、どうして人が何かをするかなんて理由を全て解説できないものでしょう?写真を撮るときの作家の態度だって同じで全て説明することなんて不可能だよ。でもよく考えてみると、僕が青年期の少年を主題にするのは、いわゆる自己の再発見をしているからだと思うよ。その当時の自分に固執していて、その当時のことをよく思い出すからね。少年から青年、そして大人になるその過程はとても複雑で特別な心理状態を通過するじゃない? あの頃って、気持ちが毎日一杯一杯だったでしょ? 僕は、青年のポートレイトから自分自身が子供の頃の気持ちを作品に込めているのかもしれないな。誰の作品を見ても、結局人はその印象を自分の体験へ当てはめてみようとするじゃない?作品の中に自分の一部を見出そうということはナルシステックなことだけどね。つまり、青年を撮影することで、自分がまさにその時代を生き直しているのかもしれないな。僕の作品に出てくる少年達には、自分自身はもちろん、少年時代に出会った友達の面影が感じられるんだよ。それから色々、空想をするんだよね。僕の青年期も彼らみたいだったらもっと楽しかったのにとか、また、あの頃に戻りたいとかね。作品を通して、常に自分に向かい合い問いかけている感じかな。

Andreas: I’m not sure I can give a completely coherent answer to that since it’s hard to really know why one does what they do, and what attracts them to a particular subject matter or why they are drawn to making a body of work. I suppose a lot my work is to do with self-discovery and being fascinated with that period of life – the transition from boyhood to manhood; adolescent years are extremely strange and confusing. There’s a lot of emotion there. Perhaps it has been my way of understanding my own childhood and development, by re-working myself into these pictures of others. I always feel in someway you’re taking a self-portrait while studying someone else. It sounds a little narcissistic, but I think it’s important to trace part of yourself in the work. You kind of get to re-live your own adolescence vicariously through someone else – all the characters I’m drawn to someone remind me of an element of myself from that time or age, or they have a quality I wish I had in myself, so I’m always searching for some kind of answer while making these types of images.

Andreas Laszlo Konrath
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須々田:あなたの作品は純粋な意味でのドキュメンタリーでもないし、コンセプチュアルでもないと言われているようですが?

Miwa: You said that your work is neither purely documentary nor conceptual. How would you describe your work style?

アンドレアス:僕が作品を通して目指していることは人の心を揺り動かすことなんだ。人を驚かすような扇情的な作品や、物議を醸し出す作品をわざと撮ろうとはしないよ。自分自身の経験を記録したいだけで、不自然なことを強制的に撮影の際に盛り込まないよ。もちろん、写真の性質は、あくまでも人工的なものだから、自然にそのままを記録するなんてありえないけれどもね。

だから、僕は自分の作品は100%ドキュメンタリーにはなりえないと思っているんだ。どうしたって、自分の意識というものが撮影する際には出てきて、写真を撮った後の編集とか、印刷の段階でまたそれを意識的に操作してしまうことを免れないし、自分自身のストーリを作り上げてしまうからね。

その一方で、自分の作品の中にコンセプチュアルなアートの要素は見出せないよ。自分をできるだけ受動的にさせて作品をとるようにして、状況を操作しないように、また意識的に何かをでっちあげないように、シャッターを押す時には気をつけるからね。

そうすることによって、作品に精神的な余裕をもたすことができて、ありのままの経験で得られる表現を引き出させることに繋がると思うよ。僕は、強制的に見てくれる人に何かを示さず、また、情報だけの作品に仕上がらないように努めているんだ。見てくれる人に自由に解釈してもらえる作品を作ることはとても大事だと思うよ。

Andreas: I think the goal my photography is to create something evocative with a hope to move the viewer somehow. I’m not really interested in work that’s trying too hard to be explicit or controversial for some sort of shock value. I just record the experience I am having and don’t try to force anything unnatural to happen while taking these photos, which of course is a contradiction since being photographed is the most unnatural thing in the world. That’s why I can’t really rely on the idea of pure documentary, as I’m involved in curating the image somehow, while in the act of doing it, the decision to hit the shutter, as well as in the process of editing and printing, I’m somehow creating a narrative of my own. But I also definitely don’t see any conceptual language in my work either – I try to have as much of a passive role as the photographer and try to be observant as I can without actively or consciously constructing or manipulating. I suppose it’s trying give the space for the work to be an expression of the experience rather than it being informative and trying to tell you something, so it allows one to make their interpretations while looking at the photographs.

Andreas Laszlo Konrath
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須々田:アンドレアス、以前に人の期待に沿って相手が求めているような作品を作るなんて最悪だって言っていたけど、アンドレアスは、少年の作品集で有名になることができたでしょう。今後作風の方向転換をすることで他の人からの評価が変わってしまったり、見る人が批判的になってしまったらどうするの?

Miwa: You told me that it would be the worst if you follow the other expectation and take your next path. Do you mean you are open to any direction/style? Are you afraid if people will find you change your known style and they expect you to stay as you did?

アンドレアス:僕は、いつもスタイルだとか、型とかという、カテゴリーで写真を分類することに反対なんだよね。なぜなら作品の技術的な面ばかり焦点が当てられて、作品から生み出される雰囲気を消し去ることになるからね。作風・スタイルとは僕にとって、写真自体の質であって、その質は、写真家が自分の個性を作品のなかにどう表していくかだと思うんだ。だから、作風を説くときに、どのように作品が撮られたかとか、ライテングの具合をどうしたとか、フィルムは何を使って、カメラの機種は何かとかは、本質的に関係ないと思うんだ。今でも覚えているのは、僕が写真を撮り始めたときに、大学の先生や、アドバイザーが「自分自身のスタイルを持ちなさい」ってひっきりなしに忠告してきたけど、僕にはチンプンカンプンにきこえたよ。

僕にとって、作品のトーンは、作品内に込められる情感のことを指すし、それが作風を決めると思うんだ。そのトーンは、どのような状況にも拘らずに、一人の写真家がどんな作品を撮っても見出される統合したものだと思うんだ。

他人の評価に関して言えば、見る人がどんな風に僕の作品を受け取るかは完全には把握できないし、コントロールできないものでしょう。まるで、純粋主義者のように聞こえるかもしれないけど、作品は自分のためだけに作られるものだと思っているんだ。自分の本能に従って、いろいろ試してみて、間違っているかもしれない新しいやり方も試してみる勇気も必要だよね。僕も正直言って僕の作品の強みを知っている他人が僕の新しい作品をどう見るかが気にならないとは言えないけど、僕はいつだって前進したいし、自分が追求したいテーマがあるなら、ちょっと心地悪いことがあったとしても、それを取り入れようとするし、自分自身の幼稚なダミーみたいな存在になりたくないんだ(簡単な道を選択したくないんだ)いつだって、新しいことに挑戦して、自分を試していきたいし、自分の心に従って作品を作っていたきたと思っているよ。

Andreas: I’ve always had a problem with the word “style” which I think get’s used inappropriately as a way to describe a photographer’s work. It get’s misused in the sense it describes the technical appearance of one’s work, rather than the actual feeling of the work. Style to me is about the personality of the photos and if and how the photographers own personality is channeled in the work. It’s irrelevant how the images were shot, how they were lit, what type of film or cameras were used. I remember when I started taking photographs people (teachers, mentors etc.) kept saying “you have to find your style” and that just didn’t make sense to me. For me, the tone of the work is an emotional sensibility and that is what style means – is there synthesis between all the images one produces and is it apparent that the same person created these images, regardless of how the photo itself is produced.
As far as following expectations of others, it’s hard to know what the implications of having regard or not having regard for your audience will be. It sounds very purist to say you’re only making the work for yourself, and how capable one is to make work that is like this I do not know. I suppose you just have to follow your instinct and try things out, experiment, and take some risks. Of course I can’t help but be aware that there are people who know me and the type of work I make, and it would be false for me to say I’m not concerned of what people think when I try something a little different – but I also have to push myself and create some discomfort in the choices I make with the work I want to pursue, as I don’t want to become a caricature of myself either. I always want to move forward to try new things and explore new ideas. But also sometimes you just know what works sometimes and you can’t help but repeat yourself at times. As long as I don’t feel stuck, then I know I am doing myself justice.

Andreas Laszlo Konrath
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須々田:写真集をつくることにどうして魅力を感じているのでしょうか?それは、とても大切なことですか?

Miwa: Please tell me about why you are fascinated with making your own book? Is it very important for you?

アンドレアス:僕は、もともと自分の写真を人にみせるのに、本の形でみてもらうのが好きなんだ。本の形で写真を見せることが一番強力な手段だと思うからね。まず、プライベートな感じがするし、親近感をもって本の物質的な側面をより自由に楽しんでもらうことができるからね。本を作ることで、自分の考える写真の見方をその編集によって表現することができるだけでなく、見る方も自由に楽しんでもらえるでしょう。これって、一見矛盾しているようだけど、本を作ることは自分の写真に対する見方を時間をかけて構築することができると同時に、最終的には見てくれる人を通してどうにでも変化していくことで、自分が当初考えついた構想は全て破壊されることになるんだ。僕は写真を撮ることに関心を持つようになった頃から同時に本を買い集めるようになったんだ。それほど、写真集というものに愛着があるんだ。それから、出版社から正式に写真集を出版してもらうためにはまず自分から、本を制作していかなくては、誰も僕の作品の存在を気づいてくれないって気がついたんだ。

Andreas: I just always loved the vehicle of the book, as a way to show photographs– I think it’s much more powerful than any other form for photographic work. I have still yet to really explore or had the opportunity to use a physical space in another way – so for now the book or zine format is what makes the most sense for me. The form allows so much intimacy for the viewer as this is something they can view in private and on their own terms. Of course you can dictate the order and sequence of the images, which is a process I am hugely fascinated with, but also, it allows the viewer to take some control and they can start viewing the work in any place, back to front, or in whatever surroundings they want. So it’s a sort of paradox as you spend so long constructing and forcing a narrative within the pages, but then ultimately it’s someone else’s choice in how they view and physically engage with the object and therefore you have no control over this.
I’ve also just loved collecting books from when I first was really interested in photography, so it just felt really natural to start to try and create these for myself with my own work. I also knew that no-one was going to walk up to me and say they want to publish my work just out of the blue, so I decided to just start making my own.

Andreas Laszlo Konrath
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須々田:ところで、アンドレアスは、かなりの量のコマーシャルのお仕事を引き受けてるよね。商業的な作品を手掛けることは楽しいですか?

Miwa: BTW, you have worked a lot of commercial works.  Please tell me about the exciting part of taking a commercial work.  What do you learn most from an assignment?

アンドレアス:そんなんだよね。僕は多くの商業写真の依頼を受けて、こなしてきているよ。それは、生活をする上でどうしても必要なことだし、自分個人のプロジェクトを推進する意味でもコマーシャルの分野で活躍することは大切なんだ。自分の写真表現をどこまでコマーシャルの仕事に出していくかということはよく考えるよ。それから、僕が多くのコマーシャルの写真をやることから、僕の活動がそれだけだと思っている人が多くいて、残念に思うことがあるよ。

そのせいもあるけど、コマーシャルの作品にも自分らしさはどうしても組み入れていくことにこだわることがあるよね。コマーシャルの仕事は、いつでもクライアントからの制約があるでしょ。その中でどれだけ、自分の作品を作れるかはある意味、挑戦であって、やりがいのあることだとも思うよ。それは、自分の写真の運動神経を鍛えているようなものだとも思うし、ポジティブな意味で自分自身のプロジェクトにも良い影響を与えているよ。

でもね、誰かのために機械的に写真を絶対に撮りたくないし、何か面白いものを作ろうといつも心掛けているんだよ。僕が常に気を付けているのは、コマーシャルであろうと何を日常でしていようと、意識的に物事をやることで、自分が今どのような立場にいて、何を成し遂げているのか常に理解するように努めているよ。

Andreas: Yes I do work in a commercial context often, in fact this is really how I make ends meet and how I can continue to make my own self-initiated projects and publish my work in the ways I want to. I’ve always been in conflict with what working in this capacity has on my photography; it can be really hard to stay in control of what you are doing. I’ve thought a lot about the implications it can have on how one is perceived, and that sometimes is frustrating as I think a lot of people think that’s all I do, because I’m creating a lot of my own projects and also running a publishing imprint as well as working in a commercial capacity.
Having said that I implicitly try my best to make the most of each commercial project and approach them as their own unique thing – so there’s some fluctuation in terms of how I want to approach that type of work. I do think it’s a great challenge to work within the constraints of a commercial project, the organizing principles that orchestrate what it is your taking part in. I find it useful to sort of flex my “photographic muscles” in that way, as it can definitely have a positive impact on how you view your own work. But I also don’t want to ever put myself in the position where I’m just robotically generating images on behalf of others without engaging with it and really trying to make something interesting happen. Sometimes I feel I fail at this notion, it’s hard to see sometimes what your role is in these types of commissions. But also I am aware that this work helps me pursue my other projects and also helps build my practice in other ways. The bottom line is to try and find a way so they complement each other and help feed each one in a cyclical way, without losing sight or a connection with any of the roles I take within my daily practice.

Andreas Laszlo Konrath

須々田:では、次にアンドレアスが主催している出版社、パオ・ワウ・パブリケーションズ(Pau Wau Publications)について伺わせて下さい。現在、キューレーターとして一緒にお仕事をさせて頂いていただいていますが、次回の出版物は日本の若手作家を6名取り上げるプロジェクトですね。でも、どうして今回特に日本の作家の写真集を制作したいと思ったのでしょうか?

Miwa: Now, let’s talk about your publishing house, Pau Wau Publications.  You offer me to work on your next project with Japanese photographers.  Please tell me why you pay attention to young Japanese photographers work for the next imprint?  Why do you decide to work with me?

アンドレアス:デザイナーのブライアン・ポール・ラモッティと僕は2008年にパオ・ワウ・パブリケーションズを発足してアーティスト本や、ジンを制作してきているんだ。ぼく自身は作家としてコマーシャルも自分の作品作りもしているけど、実は、他の作家の作品を編集して、出版したりすることもとって大事なことなんだ。ブライアンと共同で、これまで8年間出版活動をして多くの素晴らしい作家と一緒に写真集を作ってきたことは本当に恵まれていることだと思うよ。

今回、美和と一緒に日本の作家を6名選出して、写真集を出すことは、僕たちにとってとても新鮮な経験だと思うんだ。それは、いつも、2人で作業をしていたから、新しい視点が加わりおもしろいプロジェクトになると期待しているよ。日本の写真は随分前から注目していて、我々の会社で出版できることはとてもうれしいんだ。6人の作家を選びセットで販売することでそれぞれの作家の魅力をさらに引き出せればと期待しているんだ。

Andreas: Designer Brian Paul Lamotte and I founded Pau Wau Publications in 2008. We always wanted to publish zines and books and currently have worked on approximately 45 titles. It’s a really important part in my own work to also publish books with other people, to collaborate with them and help them get their work seen. My primary role is acting as an editor and finding photographers and artists to work with, then Brian works on the design and production of the product. Naturally there’s an overlap with both our roles – it’s been an amazing 8 or so years working as a duo like this. I’m really fortunate to have found someone who loves printed material as much as I do, and who wants to engage and put a lot of time and effort into this type of publishing.

We’re really excited about working with you (Miwa) on this new series exclusively with young Japanese photographers. It’s a great opportunity to work with someone else whom will bring some new ideas to the table and see things in a different way. Both Brian and myself have always paid close attention to the Japanese photography and in particular the book scene, it’s very influential. To get a chance to publish some work with young Japanese artists is great because we haven’t really curated a project in this way before. I also like working on sets and multiples at one time, so to make a cohesive body of work with more than one photographer is a challenge in the way it’s curated, edited and finally designed and produced. We’ve worked in this way many times and I love trying to solve the puzzle of making all the work compliment each other.

Andreas Laszlo Konrath

須々田:パオ・ワウ・パブリケーションズは、どのようにして日本でマーケティングを展開する予定ですか?

Miwa: How do you plan to market your Pau Wau publication in Japan?

アンドレアス:日本には、パオ・ワウ・パブリケーションズのデストリビュータが数年前からいるので、すでに日本中の素晴らしい書店に自分たちの写真集が販売されているんだ。次回の日本の作家との出版を通して、日本とのコネクションをさらに強められると期待しているよ。それから、日本へ行き、サイン会やイベント、展示会などを日本の作家とできたらいいなって思うよ。実は僕はまだ日本へ行ったことがないんだよね。実際に自分が行くことで直接的に作家たちとコネクションが築けることを期待しているよ。日本の作家を西洋人である僕達の手によって編集して、出版していくことで、何かおもしろい視点が生み出すことがお互いにできると思うし、今後の日本の作家との活動をさらに深めて、出版業を展開出来ればと考えているよ。

Andreas: Well we’ve had a distributor in Japan for a few years now, so we do currently send our publications over to Japan which are sold in amazing bookstores over there. I think with the opportunity to publish work exclusively with Japanese artists will just help solidify our connection to Japan even more, and hopefully it will encourage us to make a trip out there and maybe collaborate with the artists somehow – perhaps to do a signing or some sort of pop-up event with the books and some physical pieces on display. I’ve actually never been to Japan so I really want to make the effort to go out and meet all the artists we are working with and make a personal connection with them. Also it would just be amazing for me to experience that culture but also present a body of work back to the Japanese public that has work that is primarily made over there, but then been edited, designed and produced in the US. I think that can create an interesting dynamic.

Andreas Laszlo Konrath

須々田:では、最後にどうしてアンドレアスは自分の仕事と生活の場をニューヨークに決めたのでしょうか? それは、ロスや、東京、ロンドンではどうしてなかったのでしょうか?

Miwa: Please tell us the reason why you decide to work/live in NYC. Why not, LA, Tokyo, London or Paris but NY?

アンドレアス:ちょっとわざとらしく聞こえちゃうかもしれないけど、2002年に大学の学生旅行で初めて訪れた時にニューヨークの魅力に取り憑かれちゃったんだ。それでどうしても、ここで自分は生きるんだって感じたんだ。それから2年後の2004年に自分が感じた通り、ニューヨークに移り住んだんな。どうしてかって聞かれても、とにかく強い直感に突き動かされて、そうすることを決めたんだ。この街のことをよく知らないはとてもエキサイティングであったし、何が待ち受けているかわからなかったから、もちろんちょっと怖かったよ。ニューヨークには他の都市にないパワーに溢れていて、今でも、その魅力のためにこの街で活動をすることを決めています。

Andreas: Honestly – and I know this sounds so contrived – but after I initially visited New York in 2002 for a college trip, I was totally transfixed by the city, and convinced I would move there. Two years later in 2004, I did exactly that. I really don’t know what gripped me so much, but it was just a feeling, I was utterly bewitched by New York and the streets. I suppose it just really excited me but also scared me a little, that feeling when you don’t know a city and you don’t know what’s around each corner. I know I was a little late to the game as most locals claim that New York lost it’s grit even before 9/11 – but my experience of it was utter delight and a sort of craving for the fast paced danger of it all. Maybe I was making that up in my head, but it doesn’t really matter if I orchestrated that in my mind or not, I just wanted to be immersed in it. I suppose London didn’t really offer that to me any more, and New York just felt like home to me.

about THEM

Andreas Laszlo Konrath
Photographer
Andreas Laszlo Konrath

英国人の写真家、アンドレアス・ラスロー・コンラスはアマシャム大学でアートの一般教養を学び、ホワイトチャペル、ロンドン・ギルドホール大学で 美術の学士号を授与。幼少期からのパンク、スケートボードへの関心からロンドン郊外、ニューヨークのユース・カルチャーを主に撮影。2009年よりブライアン・ポール・ラモッティとパウ・ワウ・パブリケーションズを設立し少数部数のアーティスト本やジンの出版。
www.andreaslaszlokonrath.com 
www.pauwaupublications.com

Photography Book Specialist
須々田 美和

ニューヨークの写真集専門店『Dashwood Books』マネージャー。フォトブックコンサルタントとして活動し執筆活動をする傍ら、若手日本人の作家の作品を欧米のクライアントに紹介するため、Session Pressのディレクターを務める。ニューヨークのオークション・ハウス(クリスティーズ、スワンズ)、美術館(ブルックリンミュージアム、アジアソサエティー、ジャパンソサエティー)、ギャラリー(ブルースシルバースタイン)に研修生として務めた経験もあり、アート全般に造詣がある。


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