MADE WITH TRUTH 02

真実の行方、越境するクリエイション
Vol.02

写真:石毛倫太郎 文:吉岡加奈
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真実の行方、越境するクリエイション<br />Vol.02

MC、DJ、音楽プロデューサー、クリエイティブディレクターなど多岐に渡り活動するVERBAL(m-flo/PKCZ®)と、それまでグラフィックデザイナーとして活躍をしていたYOONの2人が、2008年にスタートをしたジュエリーブランド「AMBUSH®」。1stコレクションがリリースされると同時に、カニエ・ウエストをはじめファッションに敏感なアーティストやファッショニスタが注目し話題を呼んだ。そして2012年からは、本格的にコレクションブランドとしてスタート。昨年よりパリでも展示会を開催し、ボーダーレスに世界的な人気ブランドとして認知され始めている。今もなお、着実に進化をし続ける「AMBUSH®」の魅力はどこにあるのか。東京を拠点にワールドワイドなスタンスで勝負するデザイナー/ヴィジュアルディレクターのYOONに、ブランドの方向性について聞いてみた。

「エンターテインメントもファッションも、そしてお客さんも繋がっていく。ブランドを通じてそんなことができたらいいですね」(YOON)

AMBUSH® YOON

― 様々な国の方々と交流する際に、常にベースに置いていることは何ですか?

Y 一番大事なことはオープンマインドであることですね。パリの展示会では、ファッションウィークということもあってフランスの方だけでなく、アメリカやイギリスからも、本当にいろいろな国から人が集まってきます。皆違うバックグラウンドを持っているので、自分たちの考えが凝り固まっていると深い話しができなくなってしまうんです。なのでオープンマインドでいることや、違う文化を学ぶことは凄く大切なことだと思います。私は人の話しを聞くのが好きなんですけど、バイヤーの方たちは本当にいろいろと聞いてくるので、たくさん会話をすることは凄く勉強になるんですよ。ただ単に展示会をパリでやりましたというだけではなく、勉強したいからパリでやっている。だから自分がオープンマインドでないとそのいろいろな話しも聞けないだろうし、展示会を開いた意味がなくなるんです。

AMBUSH® YOON

― 面白い意見を聞いたりしますか?

Y 海外のバイヤーの方やメディアの方が話してくださったのは、私たちのようにストーリーを持ってやっているブランドが意外と少ないということですね。私はコレクションについて質問されると話が乗ってきて、もの凄くいろいろなことを話してしまうんですけど、それを皆さんが面白がって聞いてくれる。楽しんでくれているのがわかるんです。「「AMBUSH®」はそういうストーリーがあるから良い」と言ってもらえたときは、やはり嬉しかったですね。食に例えると愛情が込められた料理が美味しいのと一緒なんですよ。ただ作るだけというよりも、きちんと相手のことを思い浮かべて作る。そういうことは本当に大切だと思います。物を作っている立場からしても、その方が楽しいです。

AMBUSH® YOON

― ブランドを拡大したいと思ったりしますか?

Y 拡大をすることも大事ですが、それよりも自分たちに見合ったペースでしっかりと物作りをしていきたいと思っています。たいてい次のコレクションが発表されると、前のコレクションの物は飽きられてしまいますし、トレンドのサイクルがどんどん早くなってきていてファッション界は凄くカオスな時期ですよね。そんな流れの中でも阿部さん(sacaiデザイナー阿部千登勢)や、ジョニオさん(UNDERCOVERデザイナー高橋盾)は、20年近くもブランドを続けていらっしゃいますが、長くやっていても毎回、細部に至るまで考えられています。それって本当に凄いことだと思います。きっと長く愛されているブランドは、自分たちに合ったビジネスモデルを作り上げているからなんですよね。私も時間がかかってもいいので、自分たちのビジネルモデルをしっかりと作っていきたいと思います。それにはまず良いものを作り、商品をしっかりとカスタマーの手に届くようにすること。それが一番大事なことだと思っています。

AMBUSH® YOON

― 次のステップアップで、何か計画していることはありますか?

Y 実は、今年「AMBUSH®」初の直営店をオープンさせていただく予定です。「AMBUSH®」という世界観をきちんと伝えたいと考えた時に、自分たちでコンテンツを紹介することのできる「空間」を作ることが、今とても必要なのではないかという答えに至りました。既にオンラインショップは稼動していますが、そのオンラインショップともきちんとリンクさせて、店舗も新しいビジネスモデルの1つとしてチャレンジしていきたいですね。

AMBUSH® YOON

― この先、やってみたいことはありますか?

Y 先日、カニエ(・ウエスト)がニューヨーク・ファッションウィーク中に発表した「YEEZY SEASON 3」が本当に素晴らしくて、刺激を受けました。彼は音楽業界とファッション業界の関係者と一般のカスタマーを同時に巻き込んで、きちんと彼のメッセージとカルチャーを紹介したという点で、錚々たるビッグ・メゾンのショーをも越えたレベルだと思いました。ファッションはファッション、芸能は芸能と分けるのではなく、実はリンクできる。カニエがやったことは実は日本でも凄く必要なことで、そういう意味では私たちもそのような発信をしていきたいと思っています。物を作る立場として、丹精込めて商品を制作しても、その価値が実際に手に取ってくださる方たちに伝わらないと凄く寂しいんです。でもそれはメディアの人たちも含め、本来の価値観や物の良し悪しを世間に伝えきれていないからだと思うんです。若い人たちはポップスターを見て憧れたりもしますから、そういう憧れの対象になるような人たちがきちんと伝えていかなくてはといけないと思います。そうすることによって物の価値が上がっていきますし、そのようにきちんと形になっていったらいいですよね。だから今は、日本のシステムがどうなっているのかをもっと勉強して、いつか自分たちで変えていけたらいいなと思っています。

― ちなみに……デザインに煮詰まった時はどうしていますか?

Y レストランに美味しい物を食べに行きます(笑)。旅した気分になるから、違った国の食べ物を食べるのが大好きんです。昨日、メキシカンへ行ったかと思うと、次の日はレバノン料理に行ったりだとか、異なったジャンルの食べ物を食べにいくことで気持ちが晴れますね(笑)。

▷ 真実の行方、越境するクリエイション Vol.1はこちら

about her

AMBUSH® Designer / Visual Director
YOON

アメリカ生まれ。2008年 自主的にジュエリーデザインを追求していた VERBALと共にAMBUSH®を発表。代表作ともいえるPOP ARTにインスパイアされたPOW!®モチーフは、世界中のメディアやアーティストから注目の的となる。 二人の生み出す東京カルチャーを反映したユニークな作品は変化・変容を繰り返し、洗練されたコレクションジュエリーへと進化を遂げている。 2015年 Paris Mens Fashion Week期間中には初の展示会を開催し、更に同年世界のファッションビジネスを中心とするオンラインニュースサイト“Business of Fashion (BOF)” が発表する「ファッション界を変える世界の500人」に 精選。日本ならではの繊細な技術と唯一無二のデザインで表現されたジュエリーは、各界のインフルエンサーにも絶大な支持を受け、A Bathing Ape (NIGO)、Louis Vuitton(Kim Jones)、Maison Kitsuné、sacai、UNDERCOVERといった現代を代表するクリエイター達とのコラボレーションを実現させ、その影響力は世界規模で拡大し続けている。


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