NO DESTRUCTION, NO CREATION

ボーダーレスな関係が生む、計り知れない創造力

写真:松岡篤史 文:吉岡加奈
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ボーダーレスな関係が生む、計り知れない創造力

反骨精神から生まれたコンテンポラリーアート

白金にある児玉画廊で開催されたアートショー「A.FOUR Labs presents. “LAY DOWN AND LET IT BLOW THROUGH YOU”」。“服もアートの一部”というコンセプトの元に、倉石一樹氏とロンドンのアーティスト、ルーカス・プライスが2012年よりスタートしたブランド「A.FOUR Labs」が主宰をしたこのアート展は、サブカルチャー出身でありながらコンテンポラリーアーティストとして活躍するルーカス・プライスと、カリ・ソーンヒル・デウィット、この両者による新作と、倉石氏とカリによる共同作品が発表された。ロンドン、ロサンゼルス、東京と国境を越えた3人のアーティストが作り上げた作品は、見事に調和しビビッドで力強い空間を作り上げていた。

A.FOUR Labs

「児玉画廊での展示が決まってから、9カ月間の準備期間があったんだけど、作品を作るにあたり最初にインスピレーションが湧いたのは、詩的な言葉を使うということだった。そんな時にアメリカのレイヴカルチャーの映像を見て、レイヴキッズたちのパワルフな感じが良いなと思い、そこからインスパイアを受けて詩を書いたんだ。それとVHSビデオの映像を一時停止した時に見るノイズがかった画像が気になって、その光景をキャンパスにペイントした。ゲットーで悪ガキなスクールキッズ感、若者たちのパンク感を表現してみたんだ。カズキもカリも、僕と年齢が近いからか共感できることが多い。年をとって賢くなってきた中で、各々の表現をすることができているんじゃないかな」(ルーカス・プライス)

A.FOUR Labs

「作品を作る時、なるべくクリアなコンセプトを作らないようにしているんだ。言葉で語るよりも、作品そのものを観てもらった方がコミュニケーションをとりやすいからね。でもその中で自分がいつもなんとなくテーマにしていることは、セックス(性)と死、人生の冒険とそんなこと。今回の作品は、ゴミ箱に捨てられたテーブルクロスをヒントに制作したんだ。お婆ちゃんの家で使っていたジュースをこぼしたシミのついたテーブルクロスのように、僕は捨てられてしまうようなものに生命を感じるんだよ。カズキと共作した墓石の形をした花瓶や、メモリアルスウェットからヒントを得たスウェットも、そんなざっくりとしたテーマの中で生まれた作品なんだ。アート作品にすることで、Rebirth=蘇えらせるというかね」(カリ・ソーンヒル・デウィット)

A.FOUR Labs
「A.FOUR Labsは、アーティストと一緒にやりながら服を作っているんですが、そのアーティストたちの作品をファッション側からではなく、きちんとコンテンポラリーアートとして見せることをやりたかった。だからアートショーを行うにもどこでやるかがとても重要で、現代アートをきちんと扱っている児玉画廊で開催することにしたんです。児玉画廊の児玉さんとは、僕がニューヨークに住んでた時に、いろいろなところへ連れて行ってくれてアートを教えてくれた方でもあるんです。ルーカスもカリも、サブカルチャーの要素が強いアーティストだけど、素晴らしいアーティストです。ちなみに今回、2人は何もお題目を与えていないんですよ。2人ともまったく手法が違うんですが、一緒に飾った時にまとまって見える。いいなと思いましたね」(倉石一樹)

この3人に加え、通称グレイヴィーヤード(墓地)と呼ばれていた、カリと倉石氏が制作をした墓石の花瓶に美しく飾られた花は、フラワーアーティストの東信氏が選んだものだった。ルーカスはロンドン、カリはロサンゼルス、倉石一樹氏と東信氏は東京と、普段は別々の都市で暮らす彼らが作り上げた作品と空間は、アイデアと手法、そして思想や表現など、いろいろな意味でボーダレスでありながら、美しくひとつにまとまっていた。そして、反骨精神に溢れたサブカルチャー的な要素の強いものを、堂々とストリートレベルから次のレベルへと持ち上げていたのであった。

A.FOUR Labs
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