ARTICLE OF CRITIQUE 03

SNS時代の極私的な○○論「旅の記録とグランピング」
写真家 松藤美里が体験した1泊2日

写真:松藤美里 文:野村優歩
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SNS時代の極私的な○○論「旅の記録とグランピング」<br />写真家 松藤美里が体験した1泊2日

多種多様な価値観が存在する時代にあって、“スタンダード”は常に形を変え、進化を続けている。アウトドアが我々の生活にとってより身近な存在となり、今では欠かすことのできないアクティビティのひとつともなった今、世界標準で話題となっているのが「グランピング」と言われる新たなキャンプのカタチだ。専門的な知識やギアを必要とせずに、グラマラスにキャンプを楽しむというそれは、アウトドアの新たな選択肢として注目を集めている。今回、若手写真家として活躍する松藤美里さんが、実際に触れて感じた福井県・高浜のグランピングについて、その実態とともにリアルな私感を記録した。

GRAMPING 松藤美里

女性一人でも満喫できるグランピングって?

世界中のリゾート地を中心に、今もっとも話題を集めるキャンプのスタイルであるグランピング。日本での認知度はまだまだな状況である中、先日人気アウトドアブランドが地域と手を組み実施したグランピングに参加する機会があった。我々は、気鋭の写真家である松藤美里さんとともに、福井県・高浜を訪れた。

東京から新幹線とバスに揺られること4時間ほどで、目的地である高浜エリアへと到着。日本の夕陽百選や快水浴場百選にも選ばれる美しいビーチに囲まれたこの地は、 若狭湾を望む福井県の最西端、京都の舞鶴と隣り合わせる小さな港町。国内では初となるブルーフラッグ(※ビーチやマリーナを訪れる利用者が受けられるサービスの多様性や質を評価する制度のこと)の取得に向け、盛り上がりを見せている。キャンプ地である砂浜では、ウェルカムテントが設けられ、アルコールと現地で採れたフルーツに出迎えられた。

GRAMPING 松藤美里
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GRAMPING 松藤美里GRAMPING 松藤美里

到着後は現地の漁港を訪れ、実際に漁船へ同乗してフグの養殖や競りを見学。さらに、八大自然洞窟のひとつとされる明鏡洞でカヤックやSUP(スタンドアップパドル)も体験するなど、高浜ならではの充実のアクティビティを楽しんだ。

日が暮れ始めてくると、砂浜では夕食の準備が進められていた。「この土地で採れた食材を使った料理を楽しめるのは嬉しいですよね。土地の味を知れるのも旅の醍醐味。昼間に実際に漁船に乗った時に見た食材もたくさんありましたね」と松藤さん。日々、東京で生活する彼女にとって、地のものを活かした食事は新鮮だったようだ。また食事だけではなく、専任のバーテンダーによるラウンジも用意され、地ビールから日本酒、ウィスキー、ワインなどアルコールも充実。大自然に身を置きながら、本格的な料理とお酒を楽しめる、グランピングならではの一夜となった。

GRAMPING 松藤美里
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当日は、6年に一度7日間続けて行われる地元のお祭り「7年祭」が特別に披露された。松藤さんは「ローカルな文化には、いつも新しい発見がある」と夢中でシャッターを切っていた。

この日、松藤さんが泊まったテントは10畳ほどのスペースにラグマットが敷かれ、ベッドはもちろん、机や椅子までを完備。この、まるでホテルの一室のような贅沢な空間こそがグランピングの最大の特徴でもある。「もう家みたいですよね。タフなテント泊とは違う、本当にリラックスできる空間に驚きました。あとは、寒さだけが心配だったのですが、ウエアのレンタルサービスもあって、体ひとつで来れるのも魅力的ですね」。

GRAMPING 松藤美里
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翌日、目覚めよく朝を迎えると、すでに各テントの前には朝食の並んだテラステーブルが。コーヒーを片手に心地よい朝の時間が過ぎていく。昨日に引き続きカヤックやSUPを楽しむ人もいる中で、松藤さんは周辺ののどかな街並みを散策。レンタルの電動自転車で思うままにペダルを漕いで行く。そして長いようで短かったグランピングもいよいよ終盤。片付けや身支度を整える手間もほとんどなく、帰路についた。

GRAMPING 松藤美里
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今回、グランピングという存在を知らずに、高浜を訪れた松藤さんにとって、なにもかもが新鮮な体験であったという。「幼い頃から、家族とキャンプに行ってもコテージやキャンピングカーなど、お手軽室内泊しかしたことがなかったんです。テント泊や寝袋に憧れがあって、大人になってから友達に連れられてそれらを経験したのですがあまり好きになれなかった(笑)。野外泊ってどうしてもマイナスの要素もあると思うんです。お風呂だって入りたいし、メイクもちゃんと落として寝たいじゃないですか。家族や彼氏と行くならまだしも、例えば女の子だけで行くとなると、体力的にも大変。でもグランピングなら、経験者がいなくても十分に楽しめるし、なにより気軽に参加できちゃうのが嬉しい。本格的なキャンプとはまた少し違うかもしれないけど、気分は味わえるし、また違った楽しみがありますよね。身ひとつで過ごせる自然の中にあるホテルのような感覚に近い。私自身、アウドドアの新しい選択肢になりそうです」。

about her

Photographer
松藤美里

1991年東京生まれ。2012年から活動開始。雑誌、広告、カタログ、アーティスト写真など、フォトグラファーとしてあらゆるジャンルの垣根を越えて活動している。たまにライターや英語通訳。草月流いけばな1級。青春映画、犬が大好き。
Instagram : @mirimatsufuji


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