INTERIOR EVOLUTION

題:インテリア進化論。
郷古隆洋 (Swimsuit Department) × 成田博昭 (FRUCTUS)

写真:小林直人 編集:kontakt
カバーデザイン:菅谷幸生
BOOKMARK
題:インテリア進化論。<br />郷古隆洋 (Swimsuit Department) × 成田博昭 (FRUCTUS)

今年秋、銀座松屋で『MODERNISM SHOW』というイベントが開催された。“モダニズムショー”とは、ヴィンテージ家具を中心としたさまざまなデザインアイテムを展示販売する、アメリカ西海岸を中心に根付いている催しのこと。その名を冠した同イベントには、Swimsuit Department 、BUILDING、ギャラリー北欧器、ELEPHANT、STOOL INC.など、日本を代表するショップやディーラーが一同に集った。「モダン家具とその周辺」というサブタイトル通り、ヴィンテージ家具の名作からアートピースや北欧の器まで。戦後、世界各国で生まれたモダンデザインの数々が並ぶ会場で、イベントの発起人であるSwimsuit Departmentの郷古隆洋さんと、グラノーラ専門店であるFRUCTUSを主宰し、モダンデザインに造詣の深い成田博昭さんに話を訊いた。ここ日本では厳しい状況が続いていると言われるヴィンテージ家具市場のこれから、あるいはインテリアの未来について。

《Swimsuit Department》
Takahiro Goko

×

《FRUCTUS》
Hiroaki Narita


MODERNISM SHOW

郷古隆洋:5年前にランドスケーププロダクツから独立した時から、ヴィンテージアイテムがある特定のファンだけのものになっている状況や、オンラインストアでの売買の仕方など、日本のヴィンテージ市場の在り方そのものに疑問を感じ始めていたんです。特にここ数年、世の中にモノが溢れかえっている状況のなかで、もう一度ヴィンテージの価値を再定義したいという気持ちが強くなった。それで日本を代表するショップやディーラーの方に声を掛けたのがこのイベントの始まりなんです。ヴィンテージの家具や雑貨、それらのデザインの魅力を多くの人に知ってもらえるような場所を作りたかった。今回は間口を広げるという意味でも、著名なデザイナーのプロダクトをメインに展示販売を行いました。ただオリジナルを展示するだけじゃなく、誰もが知っているモノを現代的に解釈してアップデートするという試みも行っていて、ヴィンテージの価値を色々な視点から提案しています。

MODERNISM SHOW
イベントの発起人である郷古隆洋さん

MODERNISM SHOWMODERNISM SHOW

展示販売品の説明書きなどもすべて手作りで製作したそう

成田博昭:僕は今回、ヴィンテージ家具を現代的にアップデートするというチャレンジをしました。例えば、《エットレ・ソットサス》のヴィンテージチェアのファブリックを今の時代感にあったものに張り替えたり、素材やカラーリングを変更したり。もちろん、歴史を重ねて残ってきたモノの良さもあるけど、楽しみ方はそれだけじゃないと思っていて、インターネットで見てもサマになるとか、日本の住宅においてもモダンに映るようなものにしたかった。海外の住宅環境に向けて作られた家具がすべて日本の住宅にフィットするわけじゃない。日本という環境でヴィンテージ家具をより楽しめるように手を加えることで、新しく生まれる価値を提案したいんです。あとは、僕のなかで80年代に生まれたデザインの再評価もひとつのテーマになっています。この年代のデザインは日本のマンションにもスッと馴染む感じがある。少しバランスの悪い造形やカラーリングが今の時代感にも合っていると思うんですよね。

MODERNISM SHOWMODERNISM SHOW

エットレ・ソットサスのユーズドチェア。写真左が成田さん、写真右が郷古さんが出品したもの。

郷古:ヴィンテージの価値もそうだけど、それらを扱うお店の役割も変わっていかなきゃいけないと思うんです。インターネットを介してモノ買うことが当たり前になった今、ショップの価値をどう出していくか。ほかのモノと比べてネットで買いづらいインテリアというジャンルだからこそ、お店が果たす役割は大きいはず。買い付けてきた本人が接客をするというのもとても大切なことで、モノと出会った時のストーリーや体験談と一緒に買うという行為が今後もっと必要になってくると思う。「この人のところで買おう」と思われるようなお店でありたいし、今後、ショップの存在意義はそこで決まるんじゃないかと思っています。

MODERNISM SHOWMODERNISM SHOW
MODERNISM SHOWMODERNISM SHOW

成田:貴重なヴィンテージを観に美術館や展示にいくのもいいんですが、やっぱりショップやオークションのプレビューが一番面白い。実際に触れられるということと、当たり前のことですがちゃんと値段が付いているのがいい。例えそれがどんな価格であれ、値札が付いているだけでそのモノが一気に身近な存在になるし、魅力も増すと思うんです。家具はやっぱり実際に触って見て買うものだから、いいショップが増えるともっと盛り上がるんじゃないかな。

郷古:成田さんは元々インテリア業界にいたけど、今は違う業界でも仕事をしてるから、考え方がインテリア一筋の人とはちょっと違うよね。成田さんがインテリア業界に戻ってきたらすごく面白いと思うんだけどな(笑)。あとはヴィンテージの価値をもっと若い人に知ってほしいよね。そのためにも、このイベントは来年もやりたいし、今後10年続くようなものにしていきたいと思ってます。

>> 次ページ 「古い=いいモノ」から、アップデートするという思考へ

1 2

FOLLOW US

pickup JOURNALS