日常に彩りをあたえるストアガイド

B&B

写真:TRVS 文:野村優歩
BOOKMARK
B&B

ビール片手に楽しめる、これからの街の本屋さん

東京は世田谷区北沢に位置する、一軒の小さな新刊書店。下北沢駅の南口商店街からほど近い路地裏に構えるビルの2Fに、今回ご紹介する『B&B』は存在する。急な階段を登り、進んだ店内には不揃いな照明に背丈の異なる本棚や様々な形のテーブルと椅子が並べられ、アンティークショップさながらの空気感が漂っている。店名でもある「BOOK」&「BEER」にちなみ、バーカウンターにはビアサーバーが設けられており、日中からビール片手に本を選べるのがこのお店の最大の特徴でもある。

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2012年に新しい価値を持つ街の本屋として、ブックコーディネイターであり、これからの執筆・編集・出版に携わる人のサイト「DOTPLACE」の編集長も務める内沼晋太郎氏と博報堂ケトルの代表である嶋浩一郎氏による共同のプロジェクトにより誕生した。二人はそれ以前から仕事でもプライベートでも付き合いがあったが、とある雑誌の本屋特集の企画で、全国の書店を見て回ったことが開店のきっかけになったという。同店には、そんな二人のこだわりを反映した、既存の本屋とは異なる様々な取り込みが行われている。

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店舗に置かれる書籍はどれも文脈棚としての形式を採用しており、著者別やジャンル別に本を並べるのではなく意味や繋がりを基に選書した棚となっている。内沼氏と嶋氏の独自の視点から選ばれた約5000冊ほどの本たち。その多くは小説や写真集がメインではあるが、料理本や漫画、定期的に取り扱いが変動するリトルプレスまで幅広い分野の新刊書籍が並んでいるのも見所だ。その他にも雑貨やお店のオリジナルグッズなども専用のコーナーにて販売され、さらには店内の什器や家具なども購入可能だというから驚きだ。こうした本にまつわるものであれば、ジャンルにとらわれることなく提案していくことも、新しい本屋の姿といえるのかもしれない。

B&B
『B&B』オーナーである内沼晋太郎氏著作の『本の逆襲』。暗影を投ずる出版業界の未来へ新たな兆しとなる姿を導き出していくエッセイ。「これからのアイデア」をコンパクトに提供するブックシリーズの第10弾となる一冊。¥1,015/朝日出版社
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共同オーナーの嶋浩一郎氏による『なぜ本屋に行くとアイデアが生まれてくるのか』。良い本屋の書棚は、想定外の情報に出会えるすばらしい装置である。人生を面白くするための本と本屋の使い方を紹介してくれる指南書的一冊。¥842/祥伝社
B&B
『B&B』のオープン3周年を記念して製作したオリジナルのトートバッグ ¥1,680(税別)、A5サイズノート ¥350(税別)、作家の吉本ばななさんが『B&B』と一緒につくっている下北沢限定販売の小冊子 ¥480(税別)

また他の書店とは大きく異なる点として、毎日日替わりで開催されるトークイベントも忘れてはならない。オーナー、スタッフがそれぞれ企画提案し、自らキャステングを行い、催されるイベントを目当てに訪れる人も少なくはない。普段はなかなか会うことのできないクリエイターや文化人も多く登壇し、貴重なトークを拝聴できる機会があるのも、『B&B』が持つ大きな魅力といえるだろう。また定数制なため、事前にチケットの購入が必要なのも付け加えておきたい。近々のスケジュールに関しては是非とも、HPなどで事前にチェックしてもらいたい。

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『B&B』の店長を務める寺島さやかさん
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書物が持つ堅物のようなイメージなのか、情報化が加速する現代社会の潮流から取り残されてしまった街の本屋。かつては我々の生活の身近にあったはずの存在を、今の時代にしっかりとアジャストさせた感覚で提案してくれる『B&B』はこれからの本屋があるべき姿を提示してくれる。本とは、「知とエンターテインメントの根源である」ということを信じ、作家との語らいや本好き達の集い、読書の時間を楽しくする雑貨などに溢れた空間に飛び込むことで、これまでとは異なる本の世界と出会うことができるはずだ。もちろん仕事終わりにふらっと寄って、ビールのついでに選書するのだって悪くない。

B&B
東京都世田谷区北沢2-12-4 第二マツヤビル2F
OPEN 12:00-24:00 ※年中無休(年末年始および特別な場合を除く)
TEL 03-6450-8272
www.bookandbeer.com


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