STATEMENT OF ONE’S WARDROBE

人気デザイナーが考える“個性の作り方”
#03 小森啓二郎(COMOLI Designer)

写真:濱田晋 文:黒澤卓也 編集:kontakt
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人気デザイナーが考える“個性の作り方”<br />#03 小森啓二郎(COMOLI Designer)

《COMOLI》のコート
※03《COMOLI》のコート

着るシーンをイメージしてデザインした一着

「私のファッション感の一つとして、どんなときでも何か一枚、ジャケットのような物を羽織っていたい、というのがあります。それもあって、コートを着るときは、ジャケットの上から羽織ることが多いのですが、そのときに気をつけているのが、コートからジャケットが見えないようにするということ。たとえばPコートだと裾からジャケットが見えてしまいがちです。かと言って、いわゆる英国紳士が着るポロコートだと、私の普段の生活で着るには大げさすぎます。そんな想いでデザインしたのがこのコートです。原型にしているポロコートよりも着丈を短くし、肩パット分をなくすことで、ラインをスッキリさせています。素材にはイギリスの乗馬服に使われるキャバリーツイルという生地を使って、しっかりとした暖かみと表情のある風合いを与えました。あとは深目のVゾーンに仕上げているのもこだわりです。個人的には詰まったVゾーンよりも深い前開きに色気を感じます。こういった洋服の何気ないディテールを意識することで、洋服の完成度や、着用したときの心地良さが決まってくるのだと思います」

フランス軍M-47フィールドパンツ※04 古着のフランス軍M-47フィールドパンツ

ミルスペックだけが成せる形

「古着のフランス軍M-47のフィールドパンツを自分で黒に染めたものです。このパンツにしかないボリューム感といった形が好きで10年以上愛用していて、毎年必ず穿いています。このパンツを実際に研究してパターンから作ってみたこともあるのですが、不思議とこの形は再現できないんです。厚みのある生地を使いながら、要所で二枚仕立てになっていたりと、軍ものらしい必要なディテールを足して行った結果のデザインがあるからこそ成せる型だと思います。穿くとサイドにボリュームが出ていい形なんです」

《MARGARET HOWELL》のニット※05《MARGARET HOWELL》のニット

一番の心地良さを与えてくれる自分に見合ったもの

「10年以上前に仕事でロンドンに行ったときに向こうで買った《MARGARET HOWELL》のニットです。私はブランドを立ち上げてから今まで、気付くと自分の服以外、ほとんどの洋服を処分してしまったのですが、これだけは未だに愛用しています。少しルーズなシルエットと、ベージュ杢の色味が気に入っていて、この色が私の肌色によく馴染んでくれるんです。それに特別上質な素材を使っているわけではないのに、着たときにどこか品のある佇まいになるところも気に入っているところです」

フランス軍M-47フィールドパンツ※06《Paraboot》のサイドゴアブーツ

ライフスタイルに合った面構えと機能

「革靴は《Paraboot》が好きです。特にこのサイドゴアは山岳用の靴ならではのノルウェージャン製法の無骨な見えがかりと、絶妙にドレスシューズとしても成立するこの型のバランスがとても好きです。私自身、冬場にしか履かない黒の細めのパンツに合わせるブーツとして、このサイドゴアは理想的なかたちです。ドレス靴とワークブーツのまさに中間に位置する《Paraboot》の靴は、現代の都市生活者にとって、とても相性が良い靴なのではないかと思っています」

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about him

Designer
小森啓二郎

1976年東京都生まれ。文化服装学院卒業後、大手セレクトショップに入社。10年間デザイナーとして経験を積んだ後、独立。2011年に自身のブランドを《COMOLI》を立ち上げる。 “全ての洋服の原型は欧米から生まれ、ある目的の為に作られた物である。”という考えの基、今の日本の気候に合う、日本人の体型に合った、上質でシンプルな日常着を展開する。


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