STATEMENT OF ONE’S WARDROBE

人気デザイナーが考える“個性の作り方”
#03 小森啓二郎(COMOLI Designer)

写真:濱田晋 文:黒澤卓也 編集:kontakt
BOOKMARK
人気デザイナーが考える“個性の作り方”<br />#03 小森啓二郎(COMOLI Designer)

タイルはどのようにして作られるのか。そこに定義はない。それは培ってきた知識や、様々な出会いといった、経験がスタイルを形成していくものだから。ゆえに聞いてみたい、彼らが培ってきたその価値観。

COMOLI 小森啓二郎

ファッションに自由を感じた90年代

シーズン毎のテーマを設けず、洋服に求める目的や、使用する素材やシルエットを追求する《COMOLI》。この一貫されたデザインから見えてくるのは、デザイナーである小森さんの不変的な価値観。そのルーツは、90年代に出会ったストリートファッションにある。「僕にとって、ファッションの原点は、90年代のファッションにあります。といっても僕の場合は、ストリートファッションが持つカルチャーやマインドではなく、単純にルーズな着こなしや、斬新な合わせ方に影響を受けていました。当時は、『EM』というセレクトショップによく通っていたのですが、そこにはスケーターブランドとラルフローレンやJクルーなどのアメリカの並行輸入物とイギリスのデザイナーブランドなどが、一緒に置かれていたお店で、それらをミックスして着こなしてしまうスタイルにとても影響を受けました。今でこそ当たり前の様な着こなしですが、上質なニットを3インチアップのヴィンテージデニムに合わせるスタイルなどは凄く新鮮に感じましたし、綺麗なアイテムを綺麗に着るのが当たり前である欧米人のスタイルを、単純な物真似ではなく、当時の東京のストリートシーンを牽引していた、ごく一部の方達の絶妙なミックス感覚が、今でも私の根底にある気がします。

《COMOLI》の白シャツ※01《COMOLI》のシャツ

肌着感覚で着れるスタンダードなシャツ

「90年代に着ていた《COMME des GARÇONS》やスケーターブランドのボックス型のシャツに影響を受けて作ったアイテムです。私の中でタイトなシルエットは、華奢な日本人には合っていないのでは、という感覚があるので、この幅広なシルエットをシャツの定型にしました。ただ当時のそのシャツの雰囲気だけでなく、大人が着られる品のあるものに仕上げたかったので、光沢感のある肌触りの良い糸で織ったブロードを使用しています。また、シャツは毎日着る肌着のようなものです。だから、品性だけでなく、それに耐え得る丈夫さや快適さにも考慮してあります。そして、TPOにも対応できるようドレスシャツとしての顔立ちにも仕立てているので、着るシーンを選びません。このシャツは、これから先もこの一枚さえあればいいと思えるように作った僕のスタンダードであり、これまで培ってきた経験が集約されているアイテムとも言えるものです」

《COMOLI》のバッグ※02《COMOLI》のバッグ

理想の型、理想の素材で作った、理想のバッグ

「いつも大量の資料などを持ち歩くので、容量が大きくて品のあるバッグを探していたのですが、思いの外いい具合のものが見当たらなくて自社で作ることにしたんです。基にしたのは、アメリカのポストマンバッグですが、この型を用いてフィレンツェ在住のデザイナー大平智生さんによるバッグブランド《Cisei》に制作をお願いしました。やはり革製品はイタリアの技術が一番ではないかと思っているので、日本の代理店さんにお願いして依頼しました。このように、アメリカの型をイタリアの素材でイタリアで学んだ日本人の繊細な技術で作る、というのが、僕の中での理想とする作りの形の一つです」

>> 次ページ 着るシーンをイメージしてデザインした一着

1 2 3

about him

Designer
小森啓二郎

1976年東京都生まれ。文化服装学院卒業後、大手セレクトショップに入社。10年間デザイナーとして経験を積んだ後、独立。2011年に自身のブランドを《COMOLI》を立ち上げる。 “全ての洋服の原型は欧米から生まれ、ある目的の為に作られた物である。”という考えの基、今の日本の気候に合う、日本人の体型に合った、上質でシンプルな日常着を展開する。


FOLLOW US

pickup JOURNALS