HELLY HANSEN and some creators 02

THE QUIET CLAIM “創り出す”人たち
普遍的なものづくりの現場から。

写真:松原裕之 文:黒澤卓也 編集:kontakt
カバーデザイン:菅谷幸生
BOOKMARK
THE QUIET CLAIM “創り出す”人たち<br />普遍的なものづくりの現場から。

自身が体験してきたユースカルチャーをルーツに、普遍的なものづくりを行う《WTAPS》のデザイナー西山 徹さん。彼のもの作りの背景となる90年代という時代は、現在の創作にも大きく影響している。そして《HELLY HANSEN》との出会いもまたこの時代。彼が抱く《HELLY HANSEN》の魅力を当時の情景と共に紐解く。

WTAPS TET HELLY HANSEN

1877年にノルウェーの商船隊の船長だったヘリー・J・ハンセンによって設立された《HELLY HANSEN》。その歴史はプロ向けのオイルスキンクロスの製造から始まり、1950年には世界初の完全防水ウェアの開発に成功。この優れた防水技術がセイラーやマリンスポーツのフィールドで支持を得た。西山さんがはじめて《HELLY HANSEN》に出会ったのは90年代のアメリカ。そこには世俗を繙くブラックカルチャーからの由来があった。

カルチャーが、新しい洋服との出会いを生む。

「90年代の初頭から半ばぐらいにアメリカへ行くことが多かったのですが、そのとき向こうではヨットレースが盛んに行われていた時代だったんです。当時、アメリカではヨットというスポーツは富裕層が多く参加していたスポーツで、ある種の人々のステータスにもなっていました。そのためか普段使いでもマリンウェアを着用することで同様のステータスが誇示されていたんです。それをヒップホップカルチャーの人たちが好んで着用していた。彼らが着ていた洋服の中に《HELLY HANSEN》があったんです。このときにはじめてブランドの存在を知りました」。

WTAPS TET HELLY HANSENWTAPS TET HELLY HANSEN

アメリカで体験したカルチャーのクロスオーバーが、マリンウェアという新たな洋服との出会いをもたらした。そして、ほかの洋服では見られないブランドならではの機能やデザインを知る。「90年代は《HELLY HANSEN》をはじめ、《TOMMY HILFIGER》や《Ralph Lauren》、《NAUTICA》など、多くのブランドがマリンスポーツウェアを製作していたんです。その中でも《HELLY HANSEN》は、高品質なマリンウェアを作る老舗メーカーとして知られていました。特にシェルパーカーは、ウェルダー縫製をもちいた世界初の完全防水加工、海水に浸しても錆びないプラスチック製のファスナーなど、今でこそ多く普及しているこれらの仕様を取り入れた、当時では珍しいものでした。その分、値段も高くプロ仕様のハイクラスなものは20万ぐらいしていたので、当時の僕みたいな若者は欲しくても買うことができなかった。だからこそステータスにもなっていたんしょうね。こうしたマリンウェアならではの機能性を盛り込んだデザインもまた、カルチャーとともに惹かれた部分でした」。

こうした背景を通じて《HELLY HANSEN》の魅力を知った西山さん。再び出会ったのは2011年の秋冬に復刻したファイバーパイルだった。「《HELLY HANSEN》のファイバーパイルが復活したことを聞いてお店に見に行ったのが、このブランドを再認識したきっかけでした。これが僕の《HELLY HANSEN》の事実上ファーストアイテムになります。90年代のマリンウェアの傾向と比べて印象的だったのは、ネイビーというカラーリングでした。アウトドアブランドではあまり多用されない暗めの色ですし、当時アメリカで見ていた《HELLY HANSEN》のアイテムは、マリンという特性から海での視認性を高めるための派手な色使いが多かった。それこそイエローやホワイト、パープル、マンゴーレッドなどといった明るい色味です。90年代にはじめて見たファイバーパイルもレッドでした。子供がジャケットとパンツのセットアップで着ている広告が当時あり、凄く印象的だったんです。それを見たときからずっとファイバーパイルは気になるアイテムのひとつでした」。

WTAPS TET HELLY HANSEN
WTAPS TET HELLY HANSEN
写真上:当時の広告 写真下:着用しているのは西山さんが愛用している私物のファイバーパイルクルー

90年代から注目していた《HELLY HANSEN》のファイバーパイル。このアイテムはフリースのはしり的存在でもあった。「フリースは70年代終わりにPETを使用して生まれた新しい生地でしたが、エコロジーの一環としてペットボトルを再生して作られることが多くなり、当時はやや奇抜な存在として扱われたようで一般的にはあまり浸透していなかったという話を聞いたことがあります。そんな生地の元祖とも言えるファイバーパイルを、もっと以前の50年代に、厳しい海から漁師たちの命を守ることを目的として開発し、本格的に洋服作りへ採用したのが《HELLY HANSEN》です。洗練されたデザインと、フリースの特徴である保温性や軽量性を更に高めた品質が認知され、エコロジー的な観点も高まっていた時代感から注目を集めるようになり、フリースは世間一般にも徐々に愛用されるようになった。こうした流れからフリースを洋服に用いることが定着していったと思います」。フリースの元祖ともなったファイバーパイル。その生産は《HELLY HANSEN》だけが行える唯一無二なもの。「この生地の厚みや起毛感、独自の風合いはブランドが持つ高度な技術に因るものだと思うんです。僕はこのモデルを3年ほど愛用していて、防寒性と軽量性に優れているので、肌寒いときはその機能を頼るように屋外でも屋内でもシーンを問わず着用します。出会いから手に入れるまでに随分と時間は経ちましたが、昔から変わらないプロフェッショナルなマリンウェアは、今では僕の生活になくてはならないワードローブのひとつです」。西山さんにとってファイバーパイルは洋服よりもギアという感覚が強いのだという。ファッションとしての合わせなどを気にせず、必要なときに羽織るもの。単純明解な使い方だが、その答えからは《HELLY HANSEN》の長い歴史が培ってきた技術や機能に信頼を寄せているように感じた。

WTAPS TET HELLY HANSEN
WTAPS TET HELLY HANSEN

HELLY HANSEN FIBERPILE® JACKET

これまで多くのワーカーたちから愛され続けてきたワークウェアの定番、FIBERPILE® VEST。優れた保温性とベストならではの利便性が特徴。ジャケットの上から羽織るなど、多様なコーディネートに対応する。¥15,120 HELLY HANSEN 原宿店 TEL 03-6418-9669

about him

Designer
西山 徹

1974年東京都出身。1993年、「FORTY PERCENTS AGAINST RIGHTS®」として活動を開始。1996年に自身のブランド「WTAPS」を立ち上げる。 その後「GIP-STORE」のオープンや2015年からは「DESCENDANT」のデザイナーも兼任する。


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