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vol.03 角田陽太(Product Designer)

映像:小林直人 映像編集:田治あずさ
文:黒澤卓也 編集:kontakt
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プロダクトの原理を理解できることが愛着へと繋がる

テーブルウェア「Common」、時計「Clock A」、キリンのビールサーバーを手掛けるなど、さまざまなプロダクトを世に輩出しているプロダクトデザイナーの角田陽太さん。時代を問わず存在し続ける普遍的なプロダクトや概念に尊敬の念を抱く彼は、そのプロダクトに対しての魅力を理解できる原理で作られているからだと解釈する。また、それが普遍的な愛着を生むことだと。

「プロダクトを作る上で、何よりも大切なのは、使う人に愛着を持ってもらうことだと思います。デザインや、マテリアルの選び方も、そのことを念頭に置きながら考える。そして、愛着が持たれるというのは、人間の生活に無理を与えないことのような気がするんです。何から何まで新しい技術や素材を使った必要以上の利便性を追求したものが、必ずしも人間の心のなかに溶け込むというわけではないと思うんですよね。それよりも僕は、先人たちが培ってきた技術や素材をベースにした上で、自分のオリジナリティーを模索しています。だからといって最新のテクノロジー自体を否定しているわけではありません。あくまでも大切なのは、人間に寄り添えるかどうかということなんです」。

人に寄り添えるものこそ本当に必要なプロダクトだと言う角田さん。そのデザインは、使う人が理解できる原理で作られていることが重要だという。「プロダクトに愛着が湧くということは、人間の頭のなかでそのプロダクトのことを理解できているからだと思います。例えば、昔ながらのアナログレコードは、針を溝に落とすことで音が出ますよね。その原理は時代が変わってもそのままで、誰もが理解できる普遍的なこと。だからこそ愛着が湧いてくる。それにレコードには所有する喜びもある。比べてデジタルデータは、どこにその音が存在して、本当に所持しているのかも不透明な感覚がある。それが愛着を持てないひとつの理由にもなっているのだと思います。レコードに限らず、人間が理解しやすいもの。それがスタンダードなプロダクトに成り得るのものだと僕は考えています」。

デザインは、理屈や機能をどこかで割り切り、センスをモノに植え付けることだと角田さんは言います。彼はどういったものに影響を受けてきたのか。そして、これから自身のプロダクトで人に何をもたらしていきたいのか。「日本のプロダクトで愛用しているのは、“NTカッターA300”などです。垢抜けているけど普遍的なデザインに仕上がっていて、とにかくセンスがいいんですよね。日本が世界に誇れるプロダクトのひとつだと思っています。僕が考えるプロダクトデザインの在り方は、「なぜいいモノなのかと」理屈を詰めていくことよりも、「なんかいいモノだと」人のセンスをいかに上手く引き出し、自分のセンスをモノに植え付けることだと思っています。人間工学に基づくなど、万能な機能を導き出すことよりも、どこかで割り切り、モノのセンスをどう発揮させるかが、デザインで大切なことだと考えています。こういったプロダクトに対する向き合い方は、僕のなかのスターであるジャスパー・モリソンやカイ・フランクに影響を受けた部分があるのかも知れません。彼らが発表してきたプロダクト以上に、二人が持つ概念や思考に共感を覚えていましたからね。そして、彼らのように僕はプロダクトで日本の文化レベルを向上させたいとも思っています。自分で言うのもあれですが、それが自分に一番向いていることだと思っているので、あとはそれを信じて作り続けるだけです」。

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about him

Product Designer
角田陽太

2003年にロンドンのデザイン事務所を渡り歩き、その後ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)に入学。2008年に帰国後、無印良品のデザイナーを経て、2011年に独立。テーブルウェア「Common」、時計「Clock A」、キリンのビールサーバーなどを手掛けるなど、そのデザインは国内外で高く評価されている。


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