日常に彩りをあたえるストアガイド

日本民藝館

写真:TRVS 文:野村優歩
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日本民藝館

生活美の普及を目指す、民藝品の美術館

1936年に思想家でもあり、民藝運動の中心人物でもあった柳宗悦によって開設された『日本民藝館(にほんみんげいかん)』。それまで美の対象とされなかった名もなき職人たちの手によって生み出された日常の生活用品に美しさを見出し、それらを「民藝」と名付け、民藝運動を本格的に始める。そして美の生活化を目指す民藝美の本拠地として今もなお、国内外から多くの人が訪れている。

東京大学の駒場キャンパスや旧前田侯爵邸の洋館、日本近代文学館などが点在し、文化の散歩道と称される駒場東大エリア。京王井の頭線の駒場東大前駅から徒歩10分ほどのところにある日本民藝館。その本館は一歩足を踏み入れれば、ほのかに緑の香りが漂い、古き良き伝統を思わせる日本家屋の造りが眼前に現れる。正面玄関の引き戸を開くと、開放的な館内に蔵を思わせる展示室が広がり、生活に密着した品々が息づくようにそこでは語りかけてくれる。




江戸時代から明治時代の日本の衣裳や裂地など約1500点が収蔵されているという

日本の古陶磁や、近現代の陶磁など約3800点を収蔵し、その一部が展示されている

“推薦工芸品売店”と名付けられたミュージアムショップでは毎年開催される日本民藝館展での入選作を中心に、全国各地から集められた新作の工芸品が販売され、作り手の思いがダイレクトに伝わり、暮らしを役立てる品々が並ぶ。その他にも雑誌「民藝」や、「民藝とは何か」など文庫化された関連書籍も多く取り揃えられる。「館内の展示を見ていただき、関心を持った方々にさらに民藝の魅力が伝わればといいなという思いで、こうした館内ショップがございます。作り手の方の作品を発表できる機会にもなり、最近では外国人の観光客の方々にも好評なんですよね」。そう話す同館の広報を務める古屋さんは、柳氏の想いとともに民藝の魅力をこれからも世に伝え続けていきたいのだという。


湯呑、飯碗、お皿や小鉢など各種食器類が多く取り揃えられる

柳宗悦の息子で、20世紀を代表するインダストリアルデザイナーである柳宗理のデザインシリーズのカトラリー類

設立者、柳宗悦氏の審美眼によって集められた工芸品や民芸品は日本や諸外国のものが中心となる。一部、民藝運動に参加したバーナード・リーチ氏や濱田庄司氏などの作家作品も並び、質量はもちろんその貴重な展示品の数々は国内外から高い評価を受けている。展示内容は周期的にテーマやコンセプトを変え、それに伴った展示品が並ぶ。その他にもメインの展示とは別に併設展や不定期で行われる講演会など、訪れる時期や目的によって楽しみ方も変わるので、頻繁に更新されるHP、Facebookなどで逐一情報を確認してもらいたい。


柳宗悦氏がわざわざ栃木県から移築したという長屋門と、それに付設した母屋からなる日本民藝館の西館(旧柳宗悦邸)

柳宗悦氏が妻であった音楽家の兼子と家族と共に過ごした生活空間が当時のまま再現されている

現代では継承している職人はいないという、当時の職人によって手がけられた貴重なガラス窓

本館の道路を挟んだ向かいに佇む西館は、もともと柳宗悦氏が生活をしていた邸宅だったという。「ここは柳宗悦氏が亡くなる72歳まで実際に生活されていた場所で、書斎などを始め当時の空気感が今もなお残る貴重な建築物なんです。今は第2、第3水曜日と第2、第3土曜日のみ特別に一般公開しています」。

民藝という新しい美の概念を現代へとしっかりと受け継ぎ、民藝品の素晴らしさを知ることのできるこの場所。生活に寄り添い、豊かな暮らしを彩る上で欠かすことのできない日用品も、その基を紐解くと、民藝の美を発見した柳宗悦に辿り着く。その柳宗悦の長年の夢であった民藝美を紹介する美術館。その歴史的な背景を知り、貴重な文化的遺産を眺めるだけでもきっと、現代に生きる人々にとっての「生活の美」なるものが想像できるのではないだろうか。



日本民藝館
東京都目黒区駒場4-3-33
OPEN 10:00-17:00(本館) ※月曜定休、10:00-16:30(西館) ※展覧会開催中の第2水曜、第2土曜、第3水曜、第3土曜のみ公開
※2015年6月30日(火)~8月23日(日)の期間内で「動物文様の工芸と絵画」が開催中
TEL 03-3467-4527
www.mingeikan.or.jp


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