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vol.02 成田博昭(FRUCTUS Director)

映像:小林直人 映像編集:田治あずさ 編集:kontakt
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キーワードは時代感とアップデート

インテリアショップの立ち上げや、フレッシュジュース、グラノーラなどを販売する《FRUCTUS》を主宰するなど、多岐に渡り活躍する成田博昭さん。時代の変化とともに、常にアップデートを繰り返す独自のライフスタイルを送る成田さんのモノ選びの基準は“時代感”にある。

「過去のプロダクトだけを深く掘り下げるのは簡単なことなんです。結局、本を見れば名作と言われるモノは一通り載っていて、それをそのまま揃えればかっこいい部屋は作れる。でも、それだけじゃ面白みがないじゃないですか? 僕は時代感をすごく意識していて、古いモノのなかにも、必ず今の時代を感じられるモノを置くようにしています。それは食器ひとつでもいい。今、生きている時代の空気や、さまざまな国の感覚を自分なりにミックスするのが好きなんです」。

成田さんが言うプロダクトにおける“時代感”とは、歴史を知った上で今だからこそできることを表現していること。「今は、過去の名作を現代的にリデザインしたプロダクトが手頃なプライスで買える時代。例えばジャスパー・モリソンが無印良品からリリースしている《THONET》の椅子もそう。そこに使われているのが新素材であったり、新しい製造方法だったり。時代にあった方法で新たに生み出されるプロダクトを使いたいんですよね」。

成田さんが実際に事務所で使用しているパラステーブル

もうひとつ、成田さんがモノ選びで大切にしているのが、プロダクトを通した“コミュニケーション”だ。「今回紹介したテーブルもそうですが、そのモノを使った時の人間の感覚まで意識してデザインされているプロダクトに惹かれるんです。グルチッチのパラステーブルは、向かい合った時に会話が盛り上がるというのもそうですが、個人の空間が守られるというところがある。例えば、同じテーブルで子どもは絵を描いていて、奥さんは料理の支度、僕はパソコンをしている。3人が全く別のことをしていても、長さがあるからそれぞれの空間が保たれるんです。昔のアメリカ映画じゃないけど、すべての空間を家族みんなで共有する生活のスタイルは、今後無くなるんじゃないかと思っていて。大きいテーブルがあって、そこでそれぞれが好きなことをしているけど、ご飯の時はそこをひとつの空間として家族で共有する。そうやってパーソナルな空間を持つことが家庭生活でも大切になってくると思います」。

パラステーブルは、屋内ではもちろん、屋外でも使用することができる

結婚や食生活の変化など、ライフスタイルの変化によって暮らしそのものを躊躇無くアップデートする生活を送っている成田さん。それは、生活の拠点においても同様だ。「自分のライフスタイルの変化に応じて、2年ごとに生活の拠点を変えているんです。前は東京で、今は福岡。次は京都がいいなと思っています。もう、ひとつの場所に固執する時代じゃないと思っていて、どこにいても仕事はできる。そして、家具も引っ越しの度に全て入れ替えています。現代は生活がどんどん軽くなって、動きやすくなっているじゃないですか? モノを持つ、という所有欲から、どう使うかっていう方向にシフトしている。だからこれからは拠点を変えるということが頻繁になると思うんです。その時に、あえてすべて売り払って、新しい場所ではその空間や気分に合った物を使う。そうやって生活を日々アップデートするというのがこれからのスタンダードだと思いますね」。

about : “Pallas table” (Designed by Konstantin Grcic)

プロダクトデザイナーであるジャスパー・モリソンの事務所に勤務した後、91年に自身の事務所を設立したドイツ・ミュンヘン生まれのデザイナー、コンスタンチン・グルチッチが手掛けたテーブル。巨大な天板と板状の2本の足が象徴的なデザインは、スチールを曲げ加工して構成したもの。彫刻的な造形美を持ちながら、実用性にも優れる。¥607,000+tax(hhstyle.com/青山本店 TEL 03-5772-1112)

about him

FRUCTUS Director
成田博昭

1974年神奈川県生まれ。2002年目黒にインテリアショップ『ローレイダー』オープン。2006年株式会社エルモルイス設立、『connect auction』主宰。2010年千駄ケ谷に『FRUCTUS』オープン。FRUCTUSの運営、世界中のヴィンテージデザインオークションを研究する傍ら、ARCHITECTURAL POTTERY、SERGE MOUILLE LAMPの正規輸入販売を行う。


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