STATEMENT OF ONE’S WARDROBE

人気スタイリストが考える“個性の作り方”
「洋服と対峙して向き合う」
#02 井伊 百合子

写真:濱田晋(取材)竹内一将(アイテム/STUH)
文:坂崎麻結 編集:kontakt
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人気スタイリストが考える“個性の作り方”<br />「洋服と対峙して向き合う」<br />#02 井伊 百合子

ファッションは自由だ。ゆえに常に選択を迫られる。どんな価値観を持って何を選び、どう着こなすのか。その姿勢にこそ、スタイルが表れる。それは例えTシャツ1枚であっても。自らのスタイルを確立したスタイリストにこそ、聞いてみたい。“個性”はこうしてつくられる。

女性らしさと男性らしさ、それぞれの魅力を混在させた独自のスタイルで雑誌を中心に活躍する井伊百合子さん。「ファッションは洋服を通して主張すること」。井伊さんが思う個性は、その主張にこそ見出すことができる。

洋服とキチンと対峙して、はじめて気づくこと

少年のような凛とした眼差しで、シンプルだけど工夫のある洋服を着ている、かっこいい女の人。スタイリストの井伊百合子さんがつくり出す女性像は、そのまま本人のイメージにも当てはまる。一見ノーマルに見えて、実ははっきりとした主張がある。そんな洋服が好きだと話す井伊さんのワードローブは、ジェンダーレスであり、それでいてとても女性らしい。どんなふうに作られているのか、どんな背景があるのかということに向き合い、対峙していくことが、井伊さんの洋服選び。

メンズウェアを学ぶことで見えた自身のスタイル

井伊さんのはじまりは洋服づくりから。文化服装学院でアパレルデザイン科のメンズデザインコースに進み、そこで得たものは多い。「ひたすら洋服を作った最初の2年間を終えたとき、洋服の見せかたに興味がいったんです。誰がどんな場所で、どんな着かたをしたら洋服が映えるかとか、良い服なのに合わせかたが変だな、とか考えるようになって。洋服をどう料理するかということに面白みを感じはじめた。そこを考えるうえで、もうひとつ展開を作りたくて、3年生で紳士服を勉強したんです。紳士服は本当に大変で、とても面白かった。長い時間をかけて手仕事でできるものの重みを知ったときに、自分も洋服と対峙して、向き合わなければと気づいた。メンズの要素を入れたくなるのは、その影響が強いんだと思います」

《Maison Martin Margiela》の白シャツ※01《Maison Martin Margiela》の白シャツ

形のいい、ベーシックな白のシャツ

「《Maison Martin Margiela》の白シャツ(※01)は、3~4年前に買ったもの。白いシャツは大好きで定番ではあるのですが、これは試着したときにテーパード具合が新鮮だったんです。着たときのシルエットが面白くて、シャツはそこが大事かなと。例えば初めて会う人や、初めて取り組む仕事のとき、新しく気持ちを切り替えるつもりで着ることが多いかもしれないです。仕事をするときはスタイリングしている世界観に集中しているので、自分はプレーンなものを着るというスイッチが入る。でも、さらっと着ているだけでも主張のあるシャツだから、初めてお会いする人にも自分を静かに伝えられるのかなって」

《Acne Studios》のTシャツ※02《Acne Studios》のTシャツ仕事でも自分自身でも、雰囲気を作るためには_定番となるアイテムがとても重要。シルエットに惚れ込んだ定番ものは、他にもある。「《Acne Studios》のTシャツ(※02)は、もう毎年買っていますね。白も、黒も、グレーも買い足して、夏は必ず着ています。毎日くらい着ているかもしれない……いや、着てますね(笑)。コンパクトだし、ずるっとしないし、きちんと見えるTシャツという感じ。サイズ展開が豊富なので、XXS、XS、S、とか、微妙にサイズを変えて買ったりもしますね。とにかく、登場回数が多い。ネックレスやベルトなんかを必ず合わせて、外では大体これを着ています。形の良さが、その理由だと思いますね」

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about her

Stylist
井伊 百合子

東京都生まれ。学生時代よりスタイリストSonya S.Park氏に師事。2008年よりスタイリストとして活動を始める。雑誌を中心に広告やタレントなどのスタイリングを手掛ける。


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