THINKING OF ORGANIC COSMETICS

ちゃんと知ってる?オーガニックコスメのホント

写真:山崎智世 取材・文:林理永
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ちゃんと知ってる?オーガニックコスメのホント

意外と知らないオーガニックコスメの基礎を学ぶ

昨今、「ケミカルよりもオーガニック」「自然により近い生活へ戻ろう」という考え方が欧米から海を渡り日本にも浸透してきて、大量生産大量消費だった時代とは真逆の方向への転換が、各分野でスピードを増している。もちろん、“コスメ”も、その例外ではない。しかし、そこで一度考えてみて欲しい。“オーガニックコスメ”とは本当は何であるのか。どれが自分に合っているのか。買い手側である私たちが、“知って選ぶ”べき時が来た、ということである。実は知らないことも多い“オーガニックコスメ”のスタンダードは、この女性3名による鼎談から、学ぶことにしよう。

久保直子 (ウェルネス&ビューティジャーナリスト)
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田上陽子 (F organicsディレクター)
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立花恵理 (モデル)

日本には“オーガニックコスメ”の定義が無い?

—— 早速、直球の質問ですが、“オーガニックコスメ”って何なんですか?

田上陽子(以下、田上):ざっくり一言で言うと“有機栽培の植物を使っているコスメ”です。“ナチュラル”と言うと、植物であれば農薬を使っているものも含まれますが、“オーガニック”はもう少し基準が厳しくて。

久保直子(以下、久保):一番分かりやすいのは、世界には、オーガニックコスメの“認証機関”というものがいくつかあって、それぞれ独自の基準で認証を与えています。それが付いていることで、オーガニックコスメの一つの目安にはなるんですけど、日本には国レベルの認証機関、ルールがなく、一部そういう動きは進んでいるようですがまだまだ一般的にはなっていません。

立花恵理(以下、立花):え!無いんですか?

田上:そう、日本のブランドでも海外の認証マークを取得することはできますが、日本独自のものは存在しないんです。ちなみに、私がディレクターを務めているF organicsも認証マークはあえて取得していないですが、認証マークを取得するに匹敵する基準でこだわりを持って作っているし、他にも独自の基準で作っているところは沢山ありますよ。ただ、オーガニックのものを少し使っているだけで“オーガニックコスメ”と言ってしまっているブランドもあるので、見分け方はすごく難しくなっています。

久保:日本では、オーガニック成分を一滴でも使っているだけで、勝手に“オーガニック”と言えてしまうんですよ。基準が無いから。“オーガニックコスメ”と言っているのに中身がオーガニックじゃなかったり、認証マークがついていないのにオーガニックコスメだったりとか、どの基準を持ってオーガニックコスメとするのか定義づけられていない。だから、買い手側が混乱してしまうんです。

立花:一滴でも!それはすごいですね…。私は全然詳しくないんですけど、日本より海外の方がオーガニックが進んでいるってよく聞くし、日本では“オーガニック”って、簡単に流行に乗った感じで言うなって…。

田上:あ、やっぱりそういう風に思うんだ!悔しいなぁ(笑)

立花:やっぱり、気を引くために“オーガニック”って言ってるんだな、って思うこともあります。だから、この判断の仕方が合っているかは分からないんですけど、普通のスーパーとかドラッグストアに売っているものより、<コスメキッチン>とか、オーガニックコスメが沢山あるセレクトショップで、海外から来たものを買う方が、自分の中では信頼ができるというか。

久保:その判断の仕方は正しいと思いますよ。こういう精油や植物エキスが入ってるよね、ということが分かっても、基準がどうとか、良し悪しの判断は、普通は出来ないですよね。だから、自分が信頼出来ると思うオーガニックのお店に行った時に、どれだけ店員さんが真摯に説明してくれるか、ブランド背景や商品に対しての知識が豊富であるか、とか、そういうことを基準にして商品を選んでみる、ということは、一つの選び方として指針にされると良いかと思います。

田上:あとは、“知っておく”ことはすごく大事ですね。オーガニックのアイテムでも、特に保存料などは、一部合成のものを使用している場合も多いです。合成成分でも刺激の強いと言われるものから、オーガニック認証マーク内で使用可とされているものまで多数あるので、特に肌が敏感な方などはどんなものが存在するのか知っておいた方が良いかも知れません。後ろの成分表を見て、分からないところは店員に聞いてみたり。

久保:毎日使うものなので、自分が好きな香りを選んでほしいです。嗅覚は大脳に直接働きかける唯一の五感ですし、触り心地や、肌に浸透した時の感覚が気持ち良いか、とか、そういったことが一番大事ですよね。

—— 世界の“オーガニックコスメ”の認証機関は、ある程度基準が統一されているんですか?

久保:認証基準は今はバラバラですね。植物の土壌の状況にすら細かく基準が決まっている認証機関もあれば、石油成分をつかっても良いとされる認証基準もあります。

田上:だから、認証マークは一つの基準ではあるけれど、それ以上でも以下でも無い。

久保:でも、これからの話で言うと、ヨーロッパでは、エコサート、コスメビオ、ICEA、ソイルアソシエーション、BDIH、というオーガニック認証機関の有名な5団体が、新しいコスモス基準に統一する動きが進行しているんです。2016年までにはそれが完了して、2017年以降はヨーロッパから厳しい基準の流れがやってくるので、日本にも影響があるのでは、と踏んでいます。アメリカ、オーストラリアは別ですが。

立花:そうなると、もっと分かりやすく淘汰されそうですね。

久保:日本が国レベルで、そういう基準を設定してくれれば良いんですけどね。そこに信頼性はきちんとあって、色々言われてはいますけど、一応の判断基準にはなる。

田上:基準は無いけど、日本から発信する本当に真摯にオーガニックを作っているコスメブランドも増えましたよね。

久保:日本の植物を使おう、という動きもかなり出てきていますよね。それは良い動きだと思うんですけど、そもそも植物が育つ環境が日本には無いんです。やっぱり乾燥していて広大な敷地があるヨーロッパとは、植物の育ち方が違うんです。

立花:そうすると、完全に日本産のオーガニックコスメを作るのは難しいんですね。

久保:そう。原材料が日本では採れない、ということになると、外から入れなきゃいけないし。でも、ある一定の基準を設ければ、不可能ではないと思うんです。だから、この頃のオーガニックの流行は、良い盛り上がりなんですけど、こういうことがもっと整理されていけば良いのにな、と思います。そうすれば、もうちょっとオーガニック業界に足を踏み入れようとする人も、消費者も入りやすいんじゃないかと思います。

田上:今は、“サステナビリティ”、“トレースアビリティ”というのも、言われてきていますよね。

久保:そうですね。環境的な問題で、持続可能であるのか、栽培から製造までの過程が全てオープンであるかどうか、ということなのですが、すごく重要視されていますね。

立花:確かに。そこが明確なら、信用出来ますよね。

久保:実際に、土壌の状況から、抽出、製造方法まで、そのブランドがどこまでオープンに出来るか、というブランド背景を見ている方は多いです。

田上:でもそれが言われ始めたのは、日本では本当にここ数年ですよね。

久保:ヨーロッパって、“オーガニック哲学”という考え方が広がっていて、例えば、そのブランドの社会背景や社会貢献度で、その商品を買うこともあるんですって。でも、日本人はやっぱり、効果がありき、自分の好みがありき。そこの会社が素晴らしいから買う、という文化はあまり無い。それはそれで正しくはあるんですけど…。

田上:そういう意味では、ヨーロッパと日本の“オーガニック”への意識の差がすごくありますよね。日本はオーガニック後進国と言われているくらいなので。

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