BEFORE THE NEW YEAR

初詣の心得。

イラスト:佐々木香菜子 取材・文:谷口暁子
取材協力:神社本庁 / 明治神宮
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初詣の心得。

全国の神社仏閣が、1年のなかで最も参拝者で賑わいをみせる初詣。日本の伝統的な年中行事のなかでも、日本人が大切にしている習わしのひとつでしょう。

初詣のいろは。(神社神道の考えに基づく)

初詣の起源は定かではありませんが、大晦日の夕方から氏神の社に籠ったり、社前で夜を明かす「年籠り」とも言われています。また一説には、江戸時代に広まった、元日にその年の恵方にあたる神社にお参りをする「恵方詣(えほうもうで)」とも。初詣では、まずは私たちを最も身近にお守りくださっていると考えられる近くの氏神さまにお参りをしてから、崇敬する神社にお参りする順番がよいと言われています。

参拝では、神様に旧年中お守りいただいた感謝を申し上げ、新年の加護を祈ります。新年をよりよく営んでいく誓いや、新年にあたっての目標などを祈願するにも適した時期と考えられているようです。初詣の期間に決まりはありませんが、年が明けて正月元日にお参りする方が多く、松の内(15日頃)までのお参りを初詣とする風潮もあります。

身なりも大切です。厳格な決まりはありませんが、お正月には歳神様をお迎えする習慣があるので、晴れ着が好ましいと考えられています。神社参拝の際は、神さまの前に「参る」という気持ちが大切。和装であれ洋装であれ、身なりを整えてお参りするのがよいとされています。

さて、初詣の風景のなかに、冷えた身体をぽかぽかと温めてくれる甘酒やお神酒の振る舞いがあります。この風習は、神さまにお供えした「神饌(しんせん)」を、お祭りに参列した方々が神さまと共にいただく「直会(なおらい)」という儀式が由来していると考えられています。お正月に甘酒やお神酒が振る舞われるのは、めでたさを共に喜び合う気持ち、そして日本人のおもてなしの心などが合わさったものだと思われます。また、お屠蘇の振る舞いには、その薬効から無病息災を祈る気持ちなどもあるでしょう。

参拝のいろは。(明治神宮の場合)

鳥居では、敬意を表し一礼してからくぐりましょう。

「これより先は聖なる域、“神域”です」という印として立てられている鳥居。京都にある伏見稲荷大社の千本鳥居にみるように、鳥居の数に決まりはありません。家に入るための玄関扉と同じだと思ってよいでしょう。明治神宮では、明治天皇と皇后の昭憲皇太后をお祀りしています。お宅にお邪魔するとき、ノックをしたり声をかけたりするのと同じことで、鳥居をくぐり神域に足を踏み入れる前に立ち止まり、敬意を込めて一礼しましょう。

鳥居の中心は「正中」と呼ばれ、神様の通り道とされています。正中は避け、右か左によけてくぐりましょう。また正中に近いほど上位となるので、なるべくお尻を見せないよう、外側の足から踏み出すのがよいでしょう。

玉砂利の音とともに心を清めながら本殿へと歩を進めましょう。

参道は、よく見ると中央が盛り上がっています。神様の通り道として、また上位であることが分かります。参道でも、なるべく中央は避けて歩くことが望まれます。

また、参道に敷かれている玉砂利。踏みしめ歩くと「ザクザク」という小気味好い音がします。玉砂利の“たま”は、魂の“たま”とも言われ、この音を聞きながら心を清め本殿へと向かいましょう。

100年後、150年後を見越した人工の森。

明治神宮は、大正初期、当時の林学博士が計画して造られた人工の森で、常緑広葉樹を中心に植えられています。それは、自然界の森と同様に畏敬の念を抱かせてくれます。東京大空襲では御殿は燃え落ちたものの、榊などの下木が耐火性が強かったため、森は燃えずに残ったのです。100年後、150年後を見越し人の手で造られた森は、今、世界からも注目されています。明治神宮の参道を歩くとき、その特色を目にすることができます。

身体と心を清め、神様の御前へ出る準備をしましょう。

1. 柄杓を右手に持ち、たっぷりと水を汲み上げます。
2. 左手を清めます。
3. 柄杓を持ちかえ、右手を清めます。
4. 左手に水を汲んで口を濯ぎ清めます。
5. 口を濯いだ左手を、再び清めます。
6. 柄杓を縦に持ち、次の方のために残った水で把手を清めます。

心を込め、願いを込めて祈りましょう。

1. お賽銭をお供えします(決して投げ入れてはいけません)。
2. 心を神様に向け、二拝。
3. 二拍手。柏手を打つ時、右手を少し下にずらします。
4. 右手を戻して合わせ、神様に感謝を捧げ、これからの目標などをお祈りしましょう。
5. 最後に一拝。

二拝二拍手一拝は、神社での正式な参拝作法ではありますが、必ず守らなくてはならないものではありません。特に明治神宮では、外国人観光客など、他宗教の方も大勢参拝にいらっしゃいます。両手を組みお祈りされる方もいれば、一拝だけの方、手を合わせるだけの方など、その参拝方法は様々です。大切なのは、心を込めて、願いを込めてお祈りすること。細かい作法は強制せず、多様化していく社会のなかで柔軟に対応してきた表れです。

旧年までのお札は神社に納め、新しく受けましょう。

参拝のあと、旧年までのお札は奉納所などに納め、新しく受けましょう。具体的なお願いがある方は、絵馬に書いてお供えするのもよいでしょう。

そして、初詣では欠かせないのが、おみくじ。明治神宮では、明治天皇と昭憲皇太后の和歌が、おみくじとしておわかちされています。道徳に関する和歌が解釈文とともに記載されており、いわゆる「大吉」などの区分はありません。運試しではないので、持ち帰り、折りにふれ、日々の生活の指針として大切に保管しましょう。

明治神宮
東京都渋谷区代々木神園町1-1
03-3379-5511(代表)
開門時間:日の出〜日の入り
12月 6:40〜16:00 / 1月 6:40〜16:20
※大晦日は終夜参拝可能


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