FOREVER STANDARD

カシミアという高級素材に新しい文脈を

取材・文 川島拓人
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カシミアという高級素材に新しい文脈を

内外ではインディペンデントで制作するデザイナーたちの高いクオリティのプロダクトやユニークなクリエション、そしてリーズナブルなプライスに惹き付けられるカスタマーが増えている。今やファッションブランドを立ち上げプロダクションを手掛けるのに、大きな工場も必要なければ、膨大な人数の従業員を雇う必要もない。LAを拠点にするグレッグ・チェイトが手掛ける《ジ エルダース テイツマン》もそのインディペンデントなブランドのひとつ。何種類ものカシミアを丁寧に織り込んだ肌触り抜群のブランケットをはじめ、ユニークなデザインのニットウエアや帽子などのアクセサリーにファンも多い。驚くことに、その工程は多くはカリフォルニアの太陽をたくさん浴びるカルバーシティにあるスタジオで行われている。

Interview with GREG CHAIT
from THE ELDER STATEMENAT

Q:NYやパリといったファッションキャピタルではなく、LAをベースにクリエションされていますが、LAでの生活はどのように影響しているでしょうか?
LAをベースにすることで、周りに関係なく自分のペースで仕事ができる。それにLAって場所は地理的にもいろいろと散らばっている。だから自分が感化されるものも制限できるし、デザインするときに自分の世界観を大切にできるんだ。自分の環境を周りに影響されることなく工夫できることは、僕にとってはすごく大切なこと。それに入ってくる情報も常にフレッシュに感じとれることができるしね。

Q:プロダクションはすべて国内で行っているのですか?
完成するまでの95%の工程がLAでやっている。それに65%ぐらいは、僕のアトリエで全部やってしまう。機械がなければ、友達のところにいって借りるとかしてね。

Q:カシミアも何十種類とありますが、《ジ エルダー ステイツマン》ではどのようなカシミアを使っているのでしょう?
僕のブランドでは。50種類以上ものカシミアを作っている。産地もそれぞれで、プロダクトにあったカシミアを選んでいるんだ。

Q:グレッグとカシミアとの出会いを教えてください。
ひとりの親友が、ものすごくシンプルでキレイなカシミアのブランケットをプレゼントしてくれてね。僕が初めてカシミアを手にした瞬間だったね。確か20代の前半だったかな。それからはこのマテリアルの虜さ。

Q:それから、どのようにしてファッションデザイナーになったのですか?
たまたまだよ。始めた頃は、ブランケットを作る予定しかなかったしね。でも、次第に服も作ってみようかなって気持ちになっていった。自然と。ファッッションデザイナーになったのもたまたまさ。ハッピーなアクシデントだね。

Q:60年代や70年代のカルチャーが色濃く反映されているように思いますが、いかがでしょうか?
決まった年代やカルチャーにインスパイアされているよりも、もっとモノ自体のことあったり、時間であったり、人から影響される方が強いかな。それぞれの時代のスピリットのようなものだよね。

Q:LAのカルバーシティに住んでいるなど、ヒッピーに影響されているのかと思っていました。
ヒッピーカルチャーに影響されているというよりも、彼らのフリーなマインドだったり、フィーリングの方に感化されているんだ。

Q:カシミアを使うなかで一番手間のかかる作業はなんでしょう?
それはセーターの種類によって違ってくるけど。一番楽しいのは、毛糸自体を作る工程かな。すごく時間も手間もかかる作業だけどね。

Q:カシミアを使うブランドにしたことを後悔したことはありますか?
はは(笑)後悔はしたことないよ。逆に楽しみを与えてくれる素材さ。

Q:ご自身はどのような服を普段着ているのでしょうか?
僕のワードローブは極めてシンプル。きっとそれはいろんなファションデザイナーたちと同じなんじゃないかな? ユニフォームみたいな感じに、ぼろぼろになるまで着続ける。デザインというよりも、フィット感であったり、クオリティの方が大切だね。

Q:なるほど、ではグレッグにとってファッションとは何でしょう。
僕にファッションを定義することはできない。それは僕がデザインするときは、自分の感覚だけに頼ってるから。何がどうこうってことじゃなくて、スタイルなんだ。

では最後に。《ジ エルダー ステイツマン》と他のカシミアブランドとでは何が一番違うと思いますか?
デニムやメガネにべっ甲や角を使うことと同じで、《ジ エルダー ステイツマン》というブランドは、カシミアというスタンダードな素材を使いつつも、すべて僕の解釈でカタチにしているということ。僕が経験してきたことそのものだから、他のブランドにはできないことだと思うよ。

【COVER CREDIT】

THE ELDER STATESMANのブランケット ¥315,900 [エドストローム オフィス/03-6427-5901]

about him

Designer
GREG CHAIT

1978年カナダ・トロント生まれ。アメリカへ移住後、アリゾナやLAなどで育つ。カジュアルブランド《KSUBI》のCEOを経て、2007年に自身の会社を設立する。そして翌年、カシミアに特化したブランド、《ジ エルダー ステイツマン》をスタートした。


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