ARTIST INTERVIEW in NEW YORK

アーティスト《SHIN MURAYAMA》
マスクで示すクリエイションの根幹

写真:佐藤康気 取材・文:佐久間裕美子 編集:神田春樹
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アーティスト《SHIN MURAYAMA》<br />マスクで示すクリエイションの根幹

年ほど前だったろうか、ニューヨークのネペンテスの店舗で行われたイベント「LINT&MAGIC」で村山伸さんのマスクのクリエーションを初めて目にした。ビンテージのデニムやボタン、貝殻といった様々な素材を使ったマスクひとつひとつに独特の表情がある。ニューヨークを拠点に活動する村山伸さんに話を聞いた。

INTERVIEW with SHIN MURAYAMA

─アメリカにはどういう経緯で渡ってきたのでしょう?
洋服の専門学校を出て、10年くらい洋服の仕事に携わっていたんですけど、思うところがあって、29歳の時にこれはちょっとアメリカに行ってみたいなと思ったんです。やっぱりずっと物を作ってく人でありたかったから、人となりが表に出てくるような物作りをしたいなと考えた時に、自分はどうなんだろうなと思ったら思いのほか空っぽなことに気づいたんです。世界にもっと本当のことがあるなと思っていて、それになんか全然気づけていないっていうのを放ったらかしてた10年だったんですね。
世界にはもうちょっと大きなものがあるはずだと思って、アメリカに、通り過ぎるんじゃなくって、根をおろして、暮らしてみて気づくことがきっとあるんじゃないかなと。ニューヨークに憧れはあったけれど、なんせ英語も喋れないし、高校卒業してからまともに勉強という勉強をしたことがないから、アメリカでいろんな世界のいろんな国の若い子に囲まれて勉強してみるのも楽しいかなと思ってボストンに行ったんです。最終的には、ボストンは、モノを作って発表する場所じゃないなと思って、ニューヨークに来ました。

─マスクという表現方法にはどうやって出会ったのですか?
友達がオンラインのブティックを運営していて、何か作らないか?と誘われたんです。実は洋服を作ってほしいと言われたんですけど、ずっと洋服の仕事をやってきて、一旦きちんと離れてみようと思ったのに、半端にまた洋服に戻っちゃうのが嫌だった。どうせだったらもうまるっきりファッションとは違うものをやりたいなと思ったんです。でも自分にはチクチク縫う事しかできないし、やっぱり最初からペインティングとか彫刻とか、作家と作品と向き合うようないわゆるアートの物作りには、勇気がなくて。サンプルを自分で身につけて、鏡で見て、それで修正はこうチクチク手で直すみたいな、そういう服と同じプロセスで、でも全くファッショじゃないもの。そしたらお面とかいいかなぐらいの感じで作り始めたんです。でもいざやってみたら、後から発見していくことも多くて。あと最初に作ったものがまったく納得いなくて、頭にある画が、なんでこんなに形にできないんだろうと、なんか納得いかなくて。未だにそれで、結局自分を納得させたいがために作り続けているようなところがあるんです。

─やってみてあとから気がついたことというと?
モノを作る人なら、映画でも作家でも小説でもそうかもしれないし、音楽でもそうかもしれないけど、神話にインスパイアされることってすごくあると思うんですね。人間の想像力の凝縮されたものが神話なんです。神話の世界は、半分人間で半分動物というような形もあるし、人間が動物に変わることもある。お面を被るという行為には神話をなぞるようなところがあって、それがおもしろく思えてきた時期があって、物作りの在り方として正当かなと思えてきたんです。

─マスクに使う素材はどこから?
古着屋でジーパンや帽子を買って使うことも多いんですが、どういうものを作るかによって、変わってきます。古着のパーツを使わないこともあるし、新品の感じが欲しいときは、やっぱり普通に生地屋さんで買う事もあるんですけど。自転車のリムのようなものを使うこともあります。

─マスク作りのプロセスは?
デザイン画は描いたりせずに始めます。朧げなイメージはあるんですけど、それがどんどん変わっていって、毎日新しく増やしたいことができて、それが集積していく感じです。絵が苦手というのもあるんですけど、スケッチしちゃうと想像力を食い止めちゃうところがあると思うんですよね。

─モノ作りの喜びっていうのは人によって違うと思うんですが、村山さんの場合、何が喜びですか?
作っているときは、もう苦しくて嫌で嫌で仕方がなくって。早く終われと思いながら作っています。1点1点手作業なのでそんな早く終わるものでもないのですが。嬉しいのは、できたときですね。

─今は、自分のクリエーションはマスクだと感じていますか?
今はそうだとはっきり思っています。最初は自分のことアーティストだって全然言えなかったし、お面が自分のアートの表現のひとつっていうのもはっきり言えなかったんですけど、今は自分はアーティストでありたい、アートとしてマスクを作っている、と思っています。アーティストである以上表現の幅ってどんどん広げていきたくなりもするのですが、そのコアのひとつにお面作りってのはあっていいかなと思っています。

about him

Artist
SHIN MURAYAMA

1977年新潟生まれ。1999年に文化服飾学院卒業後、東京でデザイン関係の仕事を10年ほどした後に「もっと世界を見たい」と決意して2008年に渡米。ボストンの語学学校留学を経てニューヨークに。現在は、ボストン時代から作り始めたマスクを主なメディアとして制作活動を行う。2013年にネペンテスのニューヨーク店で個展「Lint & Magic」を開催したほか、これまで数多くのグループ展に参加してきた。同時に古着を使った一点もののブランド《Twoness》も手がける。ブルックリンのベッド・スタイと呼ばれるエリアのアトリエ兼自宅で制作する。
www.shinmurayama.com


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