A KNOCKOUT ARTIST

芸術家スターリング・ルビーによる
手の込んだアートピース

文:川島拓人 All images are Courtesy of Taka Ishii Gallery, Tokyo
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芸術家スターリング・ルビーによる<br />手の込んだアートピース

ザイナーのラフ・シモンズが惚れ込む大注目アーティストがいる。アメリカ・ロサンゼルスを拠点にするコンテンポラリーアーティストのスターリング・ルビーだ。自身の制作活動を介して、「抑制」や「解放」といった概念と絶えず向き合う。そしてさまざまなマテリアルを駆使して生まれる予想しえない美をもって、鑑賞者をよりいっそう惹きつける。

Sterling Ruby, Los Angeles, 2013. Photo by CG Watkins.

SOFT VORTEX(6 DEEP), 2010(Detail 3 of 6) Fabric with fiver fill
[152.4H×152.4W×7.6D(each)/60×60×3″(each)]

マテリアルやフォルムなどの概念に捕われないスターリング・ルビーによる、抑制と解放

毎週月曜日から金曜日までの週5日間、午前9時から午後6時というブルーワーカーのようなスケジュールで制作に取り組むアーティスト、スターリング・ルビー。彼がどれだけの時間と手間をひとつの作品にかけているかは、作品を見れば一目瞭然である。

光沢のあるウレタンのスカルプチャー、ドローイング、コラージュ、釉薬がたっぷりとかかった歪なカタチのセラミックワーク、スプレーペイントにインスピレーションを受けたグラフィティなど、ルビーはさまざまなマテリアルとメディアを駆使し、ときに相対する素材を組み合わせることで、どこか破壊的な変容を示唆する作品を手掛け、観るものに強烈な印象を与える。これは、自身が幼少期に感化されたパンクミュージックやロックムーブメント(ブラック・フラッグ、ソニックユース、ピンクフロイドやクラフトワーク)がルビーの作品のなかに表現されているからだ。

Sterling Ruby “New Works”, installation view at Taka Ishii Gallery, September 18-October 16, 2010
Photo: KEI OKANO

HEARTTHROB EXHAUST, 2010 Bronze [40.6H×38.1Wx 20.3Dcm/16×15×8 inches]

スターリング・ルビーのファンは、アートワールドだけではない。ファッション界でも彼の自由な発想と抜群のセンスに共感するものも多いのだ。なかでも、毎シーズン、ネクストスタンダードを打ち出す気鋭のファッションデザイナーにして、アートの目利きとしても有名でもあるラフ・シモンズもそのひとりだ。シモンズが、ルビーに目をつけたのは、10年前までに遡る。自身でもルビーの作品を買い付けていたほど。そして、ここ2シーズンに渡り、自身のシグネチャーブランドでルビーとコラボレーションを遂げ、センセーショナルなクリエイションを発表した。「一緒にプロジェクトをやっているときは、本当に結婚したパートナーのような存在だった。僕はシャイで心からいろいろなことを話せる友達はあまり多くないけど、スターリングが違う。僕にとって貴重な存在なのさ」とシモンズはいう。

そんなますます注目が高まるルビーの最新作、「BC RIPS」(BC=ブリーチド・コラージュ)は、使い古されたラグや布切れや服に漂白液を垂らし、伝統的なアーミッシュキルトのパターンをモチーフにしたり、キャンバスの中心から放射状に広い雲のようなものがひろがり、その上に画面を二等分する鮮やかな色の布やバンドをコラージュした作品だ。同じLAを拠点にしていた伝説のアーティスト、ロバート・ラウシェンバーグを彷彿とさせる、ポストモダンな作品となっている。

【COVER PHOTO CREDIT】
Sterling Ruby, “BC(4962)”, 2014, fabric, glue and bleached canvas on panel
[213.4×213.4×5.1cm(84×84×2″)]

about gallery

Gallery
TAKA ISHII

TERLING RUBY『BC RIPS』 9/1〜10/4
タカイシイギャラリー
東京都江東区清澄1-3-2 5F
www.takaishiigallery.com
Sterling Ruby “BC RIPS”, installation view at Taka Ishii Gallery
Photo: Kenji Takahashi

about him

Artist
STERLING RUBY

1972年ドイツ生まれ。生後間も無く、家族とともにアメリカ合衆国に移住する。ペンシルバニア、シカゴで美術を学んだ後、アートセンター・カレッジ・オブ・デザインでMFAを取得する。同校ではマイク・ケリーのアシスタントを務めている。2008年にロサンゼルス現代美術館(MoCA)で個展を開催しブレーク。その後も、ジュネーヴ現代美術センターやローマ現代美術館で個展を開催する。2010年には瀬戸内国際芸術祭や今年のホイットニー・ビエンナーレなどに参加している。


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