Interview with HIROMICHI OCHIAI(FACETASM Designer)

スタンダードにノイズを加えるルール

写真:河津達成 文:川島拓人
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スタンダードにノイズを加えるルール

「最も東京らしいファッション」と世界中で賞賛される、ファセッタズム。そのクリエイションに欠かせないのが、デザイナー落合宏理自身が着る服でも大切にしている、“ノイズ”と呼ぶものであった。キレイなままでは完結させないクセのあるスタイル。そのアイテムたちを落合の声とともに紹介する。

ADDING NOISE TO THE STYLE
「このTシャツとかジャンクなものに、こういったモードのものでアクセントを加えるっていうのは、《ファセッタズム》でやってきてることなので」

はインディペンデントなものが好きだし、自分のブランド《ファセッタズム》もインディペンデントだと思っています。パンクじゃないけど、確かな反抗心もあります。自分の感覚にハマるものは、映画、音楽、アートだったりカルチャー的なものですから。でも、みんなと違うのは、僕が興味あるのは、ひとつのジャンルだけじゃなくて、かなり広いってこと。何か今の僕ら世代はひとつのことに固執してる感じになってますけど、僕はアンダーグランドは、すべて繋がってると思っているので。

学生のころは、特にデビット・リンチとか、カルトムービーにハマってました。渋谷の『UPLINK』に”ブラックパスポート”っていうのがあったんですけど、1万円で1年間、映画見放題だったんです。本当によく行ってました。根元敬っていう漫画家は知ってますか?グロテスクな作風の漫画家で、『映像夜間中学』っていうイベントでは秘蔵映像を鑑賞しながら、アウトサイダーな人たちとのトーク企画を、『UPLINK』で開催していて、今も続いているんですが、それを最初から観に行ってました。相当マニアックでしょ?でも実は藤原ヒロシさんとか、スケシンさんとか、スチャダラパーとかもリンクしてたり。

学生のころ、僕が着ていたものですか?僕は文化(※文化服装学院)に通っていて、学生の身分だから、そんな買えるものじゃないけど、《マルジェラ》は無理をしながら買っていました。それにちょうど《パタゴニア》の直営店が、目白にできた時代だったこともあって、よく買ってました。《マルジェラ》と《パタゴニア》の相性も抜群です。そういう組み合わせとかを当時のころから、面白がって着てました。まわりの友達は《クリストファー・ネメス》とか、《ヤンリード》とか着ていましたね。というのも、ヨーロッパのアンダーグランドのファッション全盛期だったんです。でも、僕はそこじゃなくて、カルチャーの初期衝動っていうか、どっぷりと洗練を受けてました。だから常にサイズは大きめのもの。こんな感じで曲がり曲がった風になってしまったんです。

ノイズを加える5つのアイテムたち
1.《コム デ ギャルソン》のバッグ

「これ良いでしょ?ブルーシートを使ったバッグなんですけど、でもハンドルはレザーを使ってて、変わってますよね。ショーの時、生地とかの荷物をこの鞄にパンパンになるまでいれて移動してます。すごく愛着ある鞄なんです。これは、お世話になってるスタイリストの方からいただいたんです。しかも3つも。3つ買うって、なかなかできないじゃないですか?でも、インテリアとかでも同じだと思ですけど、ひとつだけだと、何てことないものも、3つあれば、よく見えたり、かわいく見えたりするものってありますよね。もちろん見た目だけじゃないですけどね。でも、いいと思ったものは複数買うようにしています。先輩のおかげです」

2.バンド、映画、アメコミetc….のTシャツ

「Tシャツは欠かせないアイテムのひとつです。特に意識はしていないんですけど、着ていくうちに、いろんな思い出とかが積み重なっていく特別なアイテムだなって思うんですよね。Tシャツって歳を重るほどにに出会えるものじゃないですか。1枚1枚に思い出が必然と生まれますよね。でも、XLがなかなかないんですよ。カルチャーっぽいものをジャストサイズで着るのは厳しいから常に大きめで着ていたいんですよね。ジャンクな感じで提案してますけど、これは僕の完全に私服ですからね(笑)」

THRASHERのTシャツ

「《スラッシャー》のTシャツは、20歳ぐらいのときからずっと着ていて、部屋に飾ってるぐらい思い出のあるTシャツ。ツイスト(※世界的に有名なグラフィックアーティスト)が描いてくれたグラフィックや“ナイスキャンパー”っていう、ノイズのライブ会場の暴れ馬に与えられる称号も付いています。文化(服装学院)の学生のときからずっと着てるものです。こういうのが語れるって、Tシャツだけだと思うんです」

SUPREMEのTシャツ

《シュプリーム》は、敬愛なるダニエル・ジョンストンのアートワークです。《ファセタズム》のショウでは、客入れと客だしの曲を大切にしていて、客出しはいつもダニエル・ジョンストンって決まってるんです。僕この人の映画も好きだし、ドキュメンタリーも大好きで。それで《シュプリーム》から、このTシャツが出たとき、知人から誕生日プレゼントでもらって、それ以来ヘビーローテーションしています。こういうアウトサイダー系なアーティストにはすごく惹かれますね」

ERASER HEADをモチーフにしたTシャツ

「これも10年ぐらい前に古着屋で見つけたものなんですけど、デビット・リンチが監督した『イレイザーヘッド』のTシャツです。たぶんオフィシャルのものじゃないと思いますよ。このサイズ感、配色、ひび割れ具合の絶妙さ。クオリティの低いバックプリント、このすべてにおいての未完成さと大胆さがいいんですよ」

アメコミのTシャツ

「これもかなり着込んでます。これはロバート・クラムっていうアンダーグランドなアメコミの作家なんですけど、こういうものは自分の感覚にハマればすぐに買っちゃいます。古着屋にTシャツだけを探しにいくことはなくても、渋谷の「TORO」とかはマメにチェックしてますね。行く場所は限られて、これは偶然、原宿で見つけたんだと思います」

BLACK FLAGのTシャツ

「最近よく着ている《ブラックフラッグ》のTシャツ。デザイナーとして白と黒だけで、これだけ迫力があって、後世に残っていくようデザインは素晴らしいなって思うんです。それにレコ屋の店長から聞いたんですけど、《ブラックフラッグ》って、ツアーでいろいろな街を回るじゃないですか。そのライブで訪れた街に、ライブの翌日になると新しいバンドが生まれるっていう都市伝説があるみたいなんですよ。若者たちが感化されて、自分たちでもスタートアップするっていう。なんかそんなストーリーもいいなと思って着ています」

3.《セリーヌ》と《サンローラン》のバングル

「《セリーヌ》って、実は男の人も似合うんです。基本的にデザインがクロスジェンダーですからね。僕はモードファッションが好きだし、モードでいたいなとずっと思ってるんですよ。自分はファッションデザイナーだし、そういう意味で、《サンローラン》のブレスレットだったり、《セリーヌ》だったりと、ある意味、僕にとってはこれが“ハズし”のアイテムになりますかね。インディアンジュエリーとかが流行っていますけど、僕らはモードを作る人なので、進化したものっていうか、次に向かってるものを身につけたいっていう部分はどこかあるんですね。このTシャツとかジャンクなものに、こういったモードのものでアクセントを加えるっていうのは、《ファセッタズム》でやってきてることなので」

4.ジョン・ウォーターズのスタジャン

「カルトムービーといえば、ジョン・ウォーターズ(※米映画監督)ですね。ジョン・ウォーターズの『クライ・ベイビー』って、ジョニー・デップが出てるやつなんですけど、演出も音楽もめちゃめちゃかっこいいんです。NYの友人に、シン・ムラヤマってのがいて、「エンジニアドガーメンツ」とかニューヨークの「ネペンテス」で展示をやってるアーティストなんですけど、ブルックリンで、シンさんが『これ好きでしょ!?』と買ってくれたんです。僕、ギャップのあるスタイルが好きで、ギャップって言っても派手とかではそういうのではなく、アンダーグランドのノイジーなカルチャーとドレスシャツを合わせるとか、《セリーヌ》のアクセサリーを合わすとか、でも足下は《コンバース》のオールスターとか…」

5. 24インチ《レッドライン》のBMX

「一度、自転車乗っちゃうと、電車乗れなくなるんですよね。それに結構変な道入ると面白かったりしますしね。自転車のほうが、絶対行動しやすいんですよね。これも知人のお店で買ったBMXなんですけど、これよりもワンサイズ上になるとビーチクルーザーになってしまうし、小さいのだと本当に疲れるんで。通勤時間は、だいたい30分ぐらいですかね。すごく気持ちいいですよ。最近は友人が作ってくれるノンジャンルのMIXを聞きながら、アトリエまで行ってます」

about him

Designer
落合宏理

ファセッタズムのデザイナー。昨年、「毎日ファッション大賞」の新人賞・資生堂奨励賞を受賞するなど、今もっとも「東京らしい」と、世界中のバイヤーからの注目度も高い。


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