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日本に帰省する度に会う人がいます。長島有里枝さんです。私は一見フレンドリーな性格に思われますが、お酒が飲めないことや、周りに気をつかいすぎるとことがあるために、人と楽しく時間を過ごすことはあまり得意ではありません。そのため、反対に自分から会ってもらいたいと連絡する時は、強い気持ちがあります。毎年会いたいと自然に思える有里枝さんは、私にとって大切な存在です。

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有里枝さんに最初に会うことになったきっかけは、3年前に自分の出版社セッション・プレスから、有里枝さんの写真集を制作したいと願ったことに遡ります。その頃所属されていたスカイ・バス・ハウス・ギャラリーの久保田さんと金井さんを通じて、恵比寿の三越デパートの一階にあるカフェでお会いすることができました。ダシュウッド・ブックスに10年前勤めた頃から、私は有里枝さんの作品の大ファンで、特にデジャブの「ニュー・トーキョー・フォトグラファーズ」(No.18 Autumn,1994) に掲載された作品は強く心に響きました。有里枝さんの撮る若者像やセルフ・ポートレイトは90年代後半に、業界で「女の子写真」と大雑把に分類されましたが、私は、個人的な経験を記録する作品とは一線を画し、その時代の若者や女性のあり方を社会的に広く問い、また人の存在自体の切なさについて追求しているように感じました。綺麗に、お洒落に、カッコよく撮ることなど、有里枝さんの作品からは感じられず、まず、一貫して表現したいことがあり、その強い意志のまま対象に向かっているように思いました。それでいて、けっして押し付けがましくなく、みる人の多様な解釈を受け入れる懐の深さが感じられ、私は、有里枝さんの写真の虜となったのです。
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最初にお会いした時の感想は、写真集から受けた作家像と同じで、真っ正直に自分の気持ちに向き合って生きている美しい人だと思いました。 海外で周りに少しでも認められたいがために、虚勢を張ることを覚えた自分を恥ずかしく感じたことを思い出します。初めてのミーティングは、自己紹介と自社から発表した岡部桃さんの写真集、「バイブル」を見て頂くことに留まり、実際に出版についての話は進みませんでしたが、有里枝さんは、以前に制作したエッセイ「背中の記憶」を英語に直し、海外の人たちにも読んでもらいたいと話してくれました。この本は、ご存知の方も大変多いと思いますが、2009年に講談社から出版され三島由紀夫賞候補にも選ばれたたハードカバーの書籍です。(2015年には文庫として同出版社から出版されました) 海外の人にどのような印象を与えられるのか興味があるということでしたので、日本近代詩に造詣が深く、翻訳を専門としている、 アメリカ人の友人、ダニエル(今まで、セッション・プレスの写真集の英語訳をダニエルに全て任しています)を紹介し、自分にできることがあったら是非協力させて欲しいと伝えました。

この「背中の記憶」は、70年代後半から80年代前半に幼少期を過ごした有里枝さん自身の日常が綴られて、文学界ではエッセイというジャンルで括られていますが、私には小説のように思います。それは、30年以上の前の記憶を克明に表すことなど、創作なしにはできないと思うからです。私は、折に触れて、この本を開くことがあります。 有里枝さんの文章は、ご自身の記憶をもとに書いているのに、読んでいるうちになぜか私自身の家族や昔のことを思い出させてくれる不思議な力があります。

 

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私の両親は東京都の教師として定年まで勤めていました。二人とも職場で全力を注いで働くためか、家に帰ってくると誰とも話したくないほど疲れていて、なんとなく家は暗い緊張感があったように思います。近くに住んでいる祖父母の家に学校から帰ると立ち寄り、特に中学校に上がるまでは、大変お世話になったのですが、大正生まれの祖父は気性が荒くまた、言葉の悪いところがあり、自己主張の強くない祖母を相手に、絶えずなじる様子を側で見ることがつらく、努めて外で遊んでいたように思います。自分の家族への思いだけでなく、小学校の先生が何気なく言った言葉に傷ついたことや、友達のお母さんが出してくれたお皿に並べたお菓子が素敵であったことや、主役で出場するはずだったクラスの学芸会が途中で中止になり残念に思ったことや、プールに行った後に自分の部屋の畳の上で寝転がり、窓から見えた空が青くて美しかったことや、祖母が作ってくれたおにぎりがおいしかったことなど、幼少の頃の出来事を、有里枝さんの文章を読んだ後は必ず思い出すのです。

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東京も同じだと思いますが、ニューヨークは競争のかなり厳しい社会です。より良い仕事をするために、気づかないうちに仕事に直結するような内容の専門書ばかり読むようになってきてしまいました。後ろを振り向くことなく、ただ次にこなすべきことに向かって日々前進していかなくてはいけない切羽詰まった気持ちに苛まれて、心が枯れていくのがわかります。そんな時に、有里枝さんの本を読むと、自分のルーツを改めて考えることができ、そして切ない気持ちとともにあたたかい思いに包まれ優しい気持ちになれます。素の自分の姿を感じることで、心を休息させることができるためかもしれません。日々、頑張りすぎる自分から離れて、ただこうしていることがありがたく、そして楽しいことばかりではなかったけれども、大切に思ってくれる家族や友人があったことを思い出すことは、実践的な本を読む以上に、自分にとって大切なことだと思うようになりました。
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私も心からこの本の英語版が出版され、より多くの人に読んでもらえたらと願っています。そして、まだ有里枝さんの「背中の記憶」を読んでいない方は、書店に行く機会があれば是非手に取って見て下さい。前へ、先へと進まなくてはいけない忙しい日々に、こんなに柔らかい気持ちにさせてくれる本と出会えることは、素敵なことだと思います。

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撮影:三浦義晃

 

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マイケル・シュメリング・新作「MY BLANK PAGES」の紹介

“人は自己中心に知情意し、感覚し、行為する。その自己中心的な広い意味の行為をしようとする本能を無明という。ところで、人には個性というものがある。芸術はとくにそれをやかましく言っている。漱石も芥川もいっております。そういう固有の色というものがある。その個性は自己中心に考えられたものだと思っています。本当はもっと深いところからくるものであるということを知らない。つまり自己中心に考えた自己というもの、西洋ではそれを自我といっております。仏教では小我と言いますが、小我からくるものは醜悪さだけなんです。”

これは、小林秀雄と岡潔の対談集をまとめた「人間の建設」(新潮文庫・平成22年出版)からの引用の言葉です。いい写真ってなんだろうとか、自分が好きな作品を改めて考えた時に、いつも思い出す言葉です。写真のジャンルがドキュメンタリーでもスナップ・ショットでも共通して私が好きな作品は、作者の意図があるにもかかわらず、わざとらしさを感じず、撮った時の心の純真さが感じられる作品です。反対に、無自覚にただ自由に撮った作品を見ると、内輪受けだけの感じがして、途端に白けた気持ちになります。また、自分の個性を追求するばかり考えてか、表面的な小技ばかりを繰り出すことに一生懸命で、奇抜さだけを目指し、伝えたいことが見えてこない作品も、作家が対象にじっくり向き合う姿勢に欠けるように見え、ちょっといい加減な感じがして苦手です。

かなり言いたいことを色々言っていますが(すみません!)、写真家の人は本当に大変だと思います。良い作品を生み出すことが大変だからこそ、それだけ追求し甲斐があり面白いのかもしれませんね!そして、誰かと共感出来るものを作り出すとても大変な作業をされているのですから、一朝一夕にいくことではもちろんなく、他の分野にも通じることと思いますが、(音楽、文学、またどんなお仕事でも)物事の大道を極めるのに近道はないと改めて思います。

今回のエッセイでは、マイケル・シュメリングさんのMY BLACNK PAGESを紹介したいと思います。この写真集は、2015年に刊行された一押しの写真集のだったのですが、Photoeyeから写真集のベスト・ブックスの選出を求められた際はその存在を知らず、残念ながらリストに含められなかった作品です。この中で撮られている作品は、すべてスナップ・ショットですが、裸の色っぽいお姉さんや泣き叫ぶ赤ちゃんなどの扇情的な写真は一枚も含まれていません。ちょっと心の痛みを感じる日があったとしても前向きに生きていく、私たち自身のありきたりで平凡な生活が描かれているように感じます。何もドラマックな写真は一枚も含まれていないマイケルのスナップに、私はなぜか強く心を惹かれ愛しい気持ちになりました。自分の平凡な生活に照らし合わせ親近感を覚えたからかもしれません。また、マイケルの作品は強い自己主張を感じさせず、一見カジュアルに撮った日常の一コマですが、それぞれの写真に一貫する的確な構図、さりげない配色への気配りなどを見出すことができ、控えめだけれども彼のストイックな姿勢を感じたためかもしれません。一見自由に撮っていそうだけど、長い訓練の末に導き出される巧みさをマイケルの写真から、静かでありながらもはっきりと感じることができ、この写真集が大好きになりました。

日本の書店に入荷された際はどうか手に取ってご覧下さい。実は、この写真集は、500部限定で発売されたのですが、全ページにマイケルの手書きのコメントが入っています。まさに作家の執念の結晶のアーティスト本ですね。

このインタビューを通して、マイケルさんの写真家としての姿勢や、本作品を広く紹介できるきっかけとなればと思います。

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1. マイケルさん、こんにちは。まず、どのような経緯を経て写真を始めて取り始めたのか教えて下さい。

僕は、高校生の時に始めて写真を撮り始めたんだよね。おそらく、14~15歳だったかな。学校新聞があってね、その新聞ので使われる写真を撮る担当だったんだ。それを2−3年やったんだよね。僕の両親は実は70-80年代に少々写真と撮ることに凝っていて、家の地下室の暗室を作ったんだ。だから、家に帰ると暗室を使って撮ったフィルムを現像できたんだ。

1年間だけアイオワ州の大学に行ったけど、どうしてもニューヨークに行きたくて写真学部があるすべてのニューヨークの大学に入学申請を提出したんだ。それで、受かった大学の中で、New York Universityが一番良さそうだからそこで学士号をとったんだ。

大学を終了した時に自分としては絶対にフォト・ジャーナリストとして、写真と記事を提供して新聞や社会派の専門誌のために働きたかったから、ニューヨークのプレス協会の一員として勤務をして新聞社とも多くの仕事をしたよ。それを1~2年続けていたら、もっとカジュアルな仕事をやってみたくなったんだ。また、その頃から、仕事以外で自分の作品を作ることを始めたんだよね。現実的な作品よりも、もっと概念的で、ちょっと風変わりな作品を作りたいって思うようになってきたんだ。きっと、それは、新聞社の仕事があまりにもストレートすぎて、また言葉がまずありきの報道写真だったから、それとは正反対の作品を作れたらと願ったからだと思うよ。そして、自分自身の作品ってなんだろうって突き詰めて考え始めた時期でもあったよ。

僕の今の作品の撮り方は、あの当時の経験が強く影響を与えていると思うよ。まず、基本として事実を正確に伝えるためのドキュメンタリーの作品があって、それから、自分自身のやり方で写真を使って見てくれる人とコミュニケーションをとるってことかな。

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2. どんなことが、作品のインスピレーションになったりするのですか?

意識的に、作品のインスピレーションを培うことができたらいいのだろうけどね。おそらく他の人も同じ思いをしているだろうけど、神様からのお恵みを待っているように、つまり偶然のチャンスだけで、あとは自分がどんなことに対しても、受け入れる準備があるように、心を平静に、そしてオープンに整えるようにしているんだ。 そうしているとね、幸運にも一つのアイデアが浮かんで、それが次に結びついていくんだよね。いいアイデアかどうかを見極めるのは、それを頭で考えた時に体と心が心地よく反応することでわかるんだ。その時の感覚は最高だよね。その、高揚感みたいな感覚をおそらく探し求めていると思うよ。僕が一番、影響を受けるのは友達だったり、本だったり、とにかく、外にまず出てみて、見ること、触れること、体験することすべてだよ。

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3. 写真以外に、特にのめり込んでいるクリエティブな作業はされていますか?

ここ5年間は、実はデザインの仕事にもはまっているんだ。自分自身の写真集のデザインももちろんだけど、他の写真家とか、出版社から仕事を頼まれたり、コンサルテーションを頼まれたりするんだよね。それから、ウエブ・デザインや、会社のブランディングのためのデザインだって手がけることがあるんだ。この仕事を通じて、自分の写真集を作る時にどうやったら物(写真集)として作品をよく見せていくことができるのかを考えることができるいいチャンスになっているんだ。

これは、良い写真を制作したりすることの基本でもなんでもないけど、自分の作品を人に見せた時の形のあり方をより発展的に考えられるいい訓練になっていると思う。デザインだけでなく、写真の編集作業にも役立っているように思うよ。

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4. 写真を使ってどんなことを伝えていきたいですか? 人があなたの作品を見た時にどんなことを感じ取ってほしいですか?

僕の作品はいつもプロジェクトがあって制作を始めるから、一貫して伝えたいことがあるかと言われると難しいかな。それぞれのプロジェクトは個々の主張があるしね。でも、いつも自分の作品を通して、見てくれる人とコミュニケーションを図りたいって強く望んでいるよ。とても難しいけど、何かを伝える力が自分の作品にあれば、本当に素晴らしいよね。ただ単によく撮れた写真だけを並べて写真集を作ったりしてもそれが実際に見てくれる人に強いメッセージを伝えられるかどうかは別問題だし、写真集作りってそう簡単にいかないのを分かっているんだ。

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5. 以前、J&Lというロスの出版社から、コンテンポラリーアートに近い写真集を出されていましたが、今回、The Ice Plantから出版された作品は日常を写し取ったスナップ・ショットで構成されています。今後は、双方のスタイルの作品を同時に制作していく予定ですか?

次のプロジェクトがどんなものになるかは、まだ決めていないから、わからないけど、二つの全く違った作品を作っていくこともいいと思っているよ。実は、タイプが違う作品を合わせて一つの作品にできたら面白いだろうなって常々思っているんだよね。でも無理やりそれに向けて作品作りをしていくことはしないよね。いろんなアイデアが自分の頭の中にあるから、それに逆らわず、試行錯誤して制作していこうと思うよ。

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6. マイケルは、プロジェクトごとに出版社を変えていますね。それはどうしてですか? 出版社にアプローチをするときのコツなどありましたら教えてください。

そうだね、 J+Lからは3冊出版しているし、 Chronicleと the Ice Plantはそれぞれ一冊ずつ出しているよね。それから小さなプロジェクトはインディペンデントの出版社と一緒に制作してきたよ。出版社選びは自分の作品を客観的に見た時に、自然とどこから出すのが一番良いか察しがつくんだ。だからそんなに迷ったりしないよ。

例えば、Chronicleから出された「Atlanta: Hip Hop & The South」という写真集は、内容がヒップホップということで、メイン・ソトリート系だったから、商業的にビジネスを大きくやっている出版社を通して出版した方が一般の人にも見てもらえるチャンスがあると思ったんだ。 

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7. 今回ご紹介させていただく、 The Ice Plantから出版された 「My Blank Pages」は、アーティスト本としての写真集としての魅力を十分の備えた写真集ですね。特に手の中に入る本の大きさ具合とか、 柔らかい紙質をカバーに使用して手触りから親密な感じを出ていいて、モノとしての触感が素晴らしいと思います。もしよろしければ、どのような過程でこの写真集ができたか教えて下さい。また、本の題名の由来を教えて下さい。(日本語に直訳すると「僕の空白のページ」となります)また、ページごとに手書きでコメントを入れていますが、この作業はこの本を完成する上で大切なことでしたか?

どうもありがとう!!大好きだって言ってくれて嬉しいよ。この写真集は、完成された写真集の大きさよりやや小さい6×8で当初試しに作ってみたんだ。どうしてこのサイズから始めたかというと、今まで、4×6のプリントで多くの写真を撮ってきたから、写真集の大きさはあまり大きくない方が適当だと思ったんだよね。そして、ペーパーバックスのアメリカの小説の単行本もちょうどこのぐらいの大きさだから、いい感じで本箱に収まるのではないかと思ったんだ。最初の構想と比べると、ちょっとだけサイズは大きくなったけど、本の中に文字を書き込みたかったから、これで良かったと思うよ。

ちょっと、話が長くなるんだけど、この本のデザインに決定した過程を少しお話ししたいな。僕は、自分が買った本のカバー・デザインやイラストレーションが気に入らない時はいつも、マニラ・フォルダーを使って(薄茶色のファイル・ホルダー)本の背表紙にしていたんだ。この習慣を、自分が作る写真集にも使ってみたいって常日頃、考えていたんだよね。それから、本のカバーに色々描いてある文字だけど、これは、元々、僕が考えついた本の題名の候補だったんだ。どれにするか試行錯誤していた時に、そのままこのリストを本のデザインとして残してしまおうと思ったんだ。どうしてこんな装丁になったかって理由は、直感的にこれでいきたいと思ったから。それ以上の説明はないなー。

本の装丁とか、編集は全部自分でやったんだ。もちろん、出版者のマイクとトリッシアにも見せて、みんなの了解は得たし、彼らの意見は僕にとってとても重要だよ。最終的に、今の形になるまで3回はダミーを作り直したよ。

本のページ毎に、手書きにコメントを加えるアイデアは最終的なダミーが完成した時に浮かんできたんだ。一つずつの写真にキャプション(説明)をつけようと思っていたんだけど、タイプ印刷で記すより、手書きでもいいかなって急に思いついたんだ。それで、自分の気持ち通りに、それでいこうということになったんだ。ちょっと考えれば、気違いじみているけど(500部の写真集のページ毎に、手書きでキャプションを入れることは)やらなくちゃいけないっていう気持ちの方が大きかったんだ。そして、美和の言っている質問通り、自分の写真集にとって欠くことのできない大切な作業に感じたんだよ。こうすることによって、僕の写真集を見てくれる人と、コミュニケーションが取れる気がしたんだ。それは、本当に僕が写真を撮っていて一番大切にしたいことなんだよ。

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8. ちょっといじわるな質問ですが、自分の弱い点とか反対に良い点とかを意識的に考え、作品をつくっていますか? 弱い点は、どのようにして克服しようとしていますか?

おそらく、他の人と一緒だと思うけど、弱い点ばかり気にしてくよくよすることがよくあるよ。でも、たまにだけど気持ちが前向かきな時は、自分が下した判断が正しかったんだって、明るい気持ちで考えられるんだ。そんなことばかり繰り返しているように思うな。やっと勝ち取れた良かったことは、次の瞬間にすぐ消えてなくなってしまうものじゃない?成功の高揚感を感じられるのって短いよね。もし失敗したらそこからなにか学び取れればそれでいいと思うようにして、とにかく僕が心得ているのは立ち止まらずに前だけを見て、作品を作り続けていることなんだ。

9. 日本の写真はお好きですか?だれか好きな写真家はいますか?

日本の写真はすごく好きだよ。一番好きなのは、森山さんとアラキと川内倫子さんかな。森山さんが、70年代に東京のレンタル・ショップのコピー機を使って本を作ったことは写真史にとって伝説的な出来事だよね。ppp エデションの森山さんの写真集 「71-NY 」は2002年に買った本だけど、未だに強いインスピレーションを与えてくれているよ。それから、古谷誠一の「Mémories 1983」も最高だよね。90年代に実は2回ほど東京へ訪れているんだけどあの時のことは今でも鮮明に覚えているよ。

10. 若い作家さんにどうか成功できる秘訣を教えてあげてください。

これは、みんなも言っているありきたりなことだけど、、、自分が作った作品が思いがけない方向に自分を導いてくれることがあるから、とにかく自分の気持ちに従って、思いついたことをやってみることが一番いいと思うよ。僕の友達が言っていたんだけど、「自分がやらなくてはいけないことは、自分がしなくてはいけないと感じていることをただやっていくことさ」ってね。 実はとってもシンプルな事だよね。

http://www.michaelschmelling.com/#/new_work_news/1

http://theiceplant.cc/myblankpages.html

1. Pls tell us about when you started taking photographs, your approach to photography and a little bit about your work in general? 

I started taking photographs in high school, I was around 14 or 15. I shot photos for the high school newspaper for two or three years, shooting with my mom’s old Nikon. My parents both took photos as a hobby in the 70’s and early 80’s, and had built a darkroom in our basement. I began to make prints at home as well. 

I ended up going to college in Iowa for a year before I realized that I should be in New York. I applied to all the New York photo schools and ended up at NYU. 

When I got out of college I was really set on becoming a photojournalist – I started working as a stringer for the Associated Press in New York, freelancing for newspapers, and shooting all sorts of new assignments. I did that for a year or two, and then started drifting towards magazine work. At the same time, I was starting to work on larger projects of my own – and these often ended up taking me in more idiosyncratic, conceptual directions. In some ways I guess I was reacting against the literal-ness of photojournalism and editorial work, and really trying to figure out a language for my work. 

In many ways my current approach still follows from those years: first, a foundation in documentary work, and a strong basic desire to go out into the world and take photographs; and second, a desire to find my own way of communicating through photography.  

2. How would you receive your inspirations and creativities flowing and refreshing? 

It would be great to be able to harness inspiration, but like everyone else I guess I’m at the mercy of chance and serendipity. I’d like to think that I’m open to it. I’ve been lucky enough to have a few good ideas to take me from one project to the next. I know when inspiration hits – and I know how my head feels when I’m caught up in an idea. That’s the best feeling – probably the one that everyone chases. I’m probably most inspired by friends, and books and just being out in the world. 

3. Do you have other (creative) interests other than photography?  Do you think if it affects your perception in photographer and functions as foundation of your work?

Recently, in the past five years, I’ve fallen into doing some design work. First co-designing a couple of my own books, and then being hired solely as a designer/producer for other book projects, some theater-design work, and also some website design and branding. I’ve learned so much doing that work and I know some of it has filtered into my own books/projects.. It’s not the foundation, but it’s been very integral to how my more recent projects have developed, and I think it’s helped me develop into a better editor.  

4. What do you wish to communicate with your photographs?  What would you wish the other people perceive thru your work? 

Since much of my work is project-based, I can’t say that there’s one over-arching theme within my work that I wish to communicate. Hopefully, each project communicates its own ideas.. some better than others of course. But I do want to communicate, I think of that as the ideal really – and maybe the hardest thing to achieve. It’s easy to put a good series of photos together, but so much harder to actually communicate something.

5. Your previous work with J&L was pretty conceptual and now you seem to revisit your earlier work of snapshot or street photography.  Would you plan to go into the both directions in future?

I’ll have to see where the next project takes me.. though I’m open to combining these different ways of working. I’m always hoping that I’ll be able to bring all these different modes of working together, in one project, but I can’t force it. I’m guessing I’ll swing back and forth between different ideas/ways of seeing.. 

6. You have changed your publishers for each project/book.  Pls tell us about the reason for it.  Do you think choosing a right publisher by subject is very important?  How would you approach them for your new project?

Well I’ve published three books with J+L, and one with Chronicle, and one with the Ice Plant.. as well as a couple other smaller books with other publishers. I think I have a good sense of what projects of mine might be a good fit there, what to send them.

My book Atlanta: Hip Hop & The South, which Chronicle published, seemed like much more of a mainstream subject – and I thought a more commercial publisher could potentially reach a larger audience outside the photo community. I think finding the right publisher for the right project is important, but there are plenty of self-published books, and books from smaller publishers that find an audience. 

7. I adore the design and edit of your new book with The Ice Plant, “My Blank Pages”.  I esp. find the format/size of the book perfect.  Would you pls tell us about how it (designing this book) comes out?  Is it all your idea?  Why did you put the text instead of a photo for the cover?   Pls also tell us about the reason for the title and why do you decide to write your comment on each copy by hand?  Is it important for your project?

Thank you – I’m so glad you like it! This book started out as a dummy just slightly smaller than it is now, roughly 6×8”. I was working with 4×6” prints that I’ve had made over the years, and the size was based around that, and a desire to make something that felt like it could fit on a shelf full of paperback fiction books. I made it slightly bigger, the size it is now, to make it slightly easier to write in the margins (which was a decision I made much later in the process). 

It’s a long story, but I sometimes used to wrap books I was reading in old manila envelopes. If I didn’t like the cover design, I would cover it up.  These wrapped books sit with the other books on my shelf, and I’ve always wanted to design a book after this idea. I started writing a list of potential titles on the cover.. I knew I wanted text on the cover, but I can’t say exactly why, just a gut feeling. All the potential titles started to look good together. I liked that it felt ‘provisional’ like there wasn’t a definite title.  

This all came from me, I put the first dummy together with these general ideas in place before I showed it to Mike and Tricia at The Ice Plant. Their feedback was invaluable, and we went through three more dummies before we had everything in place.

The hand-writing/annotations idea came after the third dummy. I was trying to figure out a way to incorporate captions into the book, and I just started writing on the page. I think the book would survive on it’s own without the writing, but once the idea had come to me I realized that I had to follow it. It felt a bit crazy, but I knew I had to do it. So, in that sense, in answer to your question, it became important to the project, it is important to the project. But on a more general level, apart from the physical aspect of writing in the books, I thought that the writing might offer a bit more to the reader, bridge some gap between my own interest in the photos and what they might communicate to a reader (again, trying to communicate in my own oblique way).

8. It is a tough question.  Do you recognize your challenging and strong parts of your work?  If so, how do you try to overcome it and/or nourish it?

Probably, like everyone else, it’s much easier to focus on the failures, the weaker aspects.. but on the right days, I guess it can feel like I made some good decisions. I have to remember to nourish those! Victories seem so short lived.. that stuff is so elusive.. I just try to keep moving, make new work, learn from the mistakes. 

9. Do you like Japanese photographer?  Who is your favorite photographer?

Of course I love Araki, and Moriyama, Kawauchi and a bunch of others. The legend of Moriyama making xerox books in a rented shop in Tokyo in the ’70’s is one of my favorite photography stories.. and his book ’71-NY had a huge effect on me when I got it in 2002. I’ve also always loved Seiichi Furuya’s book Mémories 1983. I took two trips to Tokyo in the late 90’s and those had a huge effect on me as well.

10. Pls advice young photographers in Japan about how to be famous and successful like you.

I know it’s been said many times, but: follow your instincts, let your ideas guide you, and let your work take you somewhere else outside yourself. Or, as a friend of mine said “your job is to make exactly the work you think you should”. 

11. Putting the text/words seems a very important part of this project.  Pls let us about your relationship with photography and words (literature?)?

Books (fiction mostly) have had as big an influence on me as photography. I started reading steadily in college, and the first books that really hooked me were by Don DeLillo – they had a huge effect on me, and continue to. I know I’m not a writer, but I’ve always envied that ability to communicate ideas so clearly.. to tell a story. I know the writing I did for this book isn’t anywhere near that stuff, or even remotely literature, but maybe it gets closer to that disciplined ideal of steady writing, everyday. And at the very least, I can honestly say that I’ve put with.

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自分の持っている力を100%発揮する為に、用意周到に準備を整えてから物事に取り組むようにします。それは、後で後悔しない為でもあり、そのような仕事の取り組み方が正しいと幼い頃に学んだせいかもしれません。でも、完璧さを求めすぎ、スムーズに事が運ぶことが第一だと考えすぎる為に、その過程で自分と違う意見を提出されたとき、突発的すぎると拒絶し、最初に出た企画に沿うことだけに拘り過ぎ、内容に勢いがなく面白みに欠けることがあります。結果、きれいである程度の水準のものが出来上がったとしても、他の人の目を引くような斬新さにかけてしまうことがあるように思います。

フラクション・マガジンでフォト・アイの営業部長のメラニーさんがお話しして下さった通り(記事、昨今の写真集ブームは、コレクターや写真家の拡大に伴い、大手の出版社の大御所写真家による写真集の発刊の増加、さらに多くの無名な新人作家による自費出版の流行やオンラインでのアウトプットの活用、個人の出版社の活発な活動に支えられています。ダシュウッドには、毎日多くの作家の写真集が届きます。本の出来上がりの完璧さからいえば、やはり大手の有名な出版社が制作した写真集の方が、自費出版の写真集より専門のデザイナーにアート・ディレクションを一任している為に、仕上がりもそつなく、美しいものが多いのは事実です。しかし、荒削りであるけれども個性的な内容で、心がこもって大事に制作されたのだなと印象を受ける数多くの自費出版の作品があることにも気がつきます。

今をときめくアメリカの写真家のサム・フォールや、ライアン・マッギンレーは無名時代に自宅のプリンターで手作りの写真集を制作しました。サムがまだ国際写真大学(バード・カレッジ付属)の大学院生だったときに目の下に隈を作り、夜なべをして作った Zine を、ダッシュウッドで受け取った時のことを未だによく覚えています。それは、コピー紙の半分の大きさで、ホチキスでとめた簡素な作りの50部限定で発売されたジンでした。課題の多いカリキュラムを優秀な成績をおさめる一方、パート・タイムでコマーシャル・フォトグラファーのアシスタントもこなす中で制作した6冊の手作りの写真集は、もちろん、色に斑が合ったり、紙の大きさが少しずれていたり、大手の出版社から出される出版物に比べ仕上がりの完璧さは劣ったものでした。しかしサムのジンは彼の気持ちがストレートに伝り勢いのある美しい写真集で、手に取った瞬間に宝物を見いだした子供のときの特別な気持ちがするような気がしました。きっと、サムの手作りの写真集は、かれの想いがずっしり詰まっていて私はそれに感動したのだと思います。実は、サムは、そのジンをダシュウッドに置いたため、たまたま来訪したHigher Picturesのディレクターの目に留り、始めての個展を数ヶ月後に催すこととなりました。そして、今では、ロスのM+B Galleryを含め4つの画廊に所属し、世界中のアートフェアに参加するアート界期待の新星として、華々しい活躍をしています。

高いお金をかけなくても、有名デザイナーと一緒に本を制作しなくても、仕上がりとして完璧でなかったとしても、人の心を打つ作品が自費出版の写真集にあります。全ての自費出版の作品が素晴らしいわけではもちろんありませんが、独創的で面白い作品が多いように思います。そして、自分で制作することによって、人に見てもらえるチャンスを掴み、 今の自分の持っている想像力を表現することが何より新人の作家にとり大切であるように思います。

今回は、新人作家の手作りのジンや、インデペンデントの出版社から少数部数で制作された創意に満ちた写真集を5点紹介したいと思います。今回選ばして頂いたのは、アメリカ人の作家に限りましたが、次回は日本の写真家の作品も紹介したいと思います。ダッシュウッド・ブックスの方へどうかご連絡を頂ければ大変光栄に思います。どうかよろしくお願いします。

 

① AN ISLAND IN THE MOON

ジョーダン・サリバン

出版社:Ampersand Editions

出版年:2015

版数:250

www.jordan-sullivan.com

AN ISLAND IN THE MOON

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般若心経が出典の仏教用語である、「色即是空 空即是色」からインスパイアーされ本作は制作したのだと、作家のジョーダンは教えてくれました。アメリカ人で日本語/中国語を読めなく、仏教徒でもないジョーダンがどれだけ正確に「空」という概念を理解しているかは疑問に思います。私も、よくわからないです。 なぜなら、ここでいう、空は、有ることの不在を表しているのではなく、存在を超越した世界の絶対無を示しているので、意識のある私が、絶対無の存在を理解することは、とても無理なような気がするからです。でも、目に見えないもの、例えば、過去の思い出やその時抱いた気持ちが、不規則に心にあらわれて、とりとめがなく私の心を締めつけることがあります。そして、一般的に理解される一直線に伸びる時間の流れとは違う次元で、昔の想いに心を揺さぶられ、新たな印象を感じ、切なく幸せな気持ちになることがあります。本書のコラージュと写真をみていると、現実と想像の世界を軽やかに浮遊している気持ちになれます。幻想的な仕上がりの写真集です。

 

② ROYGBIV X GOLD

オリビア・ロッシャー

自費出版

制作年:2014

版数:130

www.olivialocher.com

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1990年、ペンシルバニア生まれのオリビアは、ファッションなどの商業写真の分野で大学卒業直後から大活躍をする作家です。日本もおそらく同じだと思いますが、アメリカの写真業界は男性が大半を占める、ボーイズ・クラブです。機材が重すぎることと、撮影を引率する為に強い個性をフォトグラファーがもつことを現場で望まれるので、男性に比べ主張がやわらかくなりがちな 女性(?)は、頭角をあらわすのが難しいのかもしれません。実は、オリビアは自己主張が強すぎるディーバタイプではなく、いつも人の心を明るくする気持ちのよい20代の女性です。しかし競争の激しいニューヨークのファッション業界のフォトグラファーとして、ファッション・ウィークや、多々の著名な雑誌(T Magazine, The Daily Mail, The New York Times, Bloomberg Businessweek, and W Magazine)で大活躍をしています。彼女のサクセスは、一緒に仕事をしたくなる気持ちのよさ、つまるところ、人としてのコミュニケーション能力の高さが原因なのではないかと思います。ある程度の商業写真を撮れる作家は多いと思います。最終的に長く業界に残れるのは、チームメイトとして、心地のいいオリビアみたいなフォトグラファーなのではないでしょうか。

そんな多忙なオリビアが、130部の少数部数で制作した写真集、 「ROYGBIV X GOLD」 を 前年末に発表しました。本作は、 アメリカの各州で施行されている馬鹿げた法律(テキサス州:子供は、奇抜な髪型をしてはいけない/オハイオ州:男の人が描かれた絵画の前で洋服を脱いではいけない/アラバマ州:アイスクリームを尻ポケットに入れてはいかない)にアイディアを得て制作されました。オリビアの得意とする明るいカラーパレットを基調に、一見とても愛らしい作品なのですが、綺麗で若い女の子だけが持つ(実際に彼女はとても美しいのですが)ちょっと意地悪なアイロニーさがあり、オリビア特有の毒を含んだ写真集に仕上がっています。

③ Cats & Dogs

トッド・フィッシャー

自費出版

出版年:2014

版数:50

www.toddfisher.net

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本作は、作家が昨年の7月にブルックリンの公園で催されたイベントに友人と一緒に立ち寄ろうとしたときに、雷を伴う大雨にあい、5−10分と言う短い時間で撮影された作品です。トッドは、予定やプロジェクトをまず決めて作品を作る方法を嫌い、偶然出会う風景や出来事に心を動かされて撮影する方法を好みます。多くの作家がニューヨークはビジネスをするのは最高だけど、作家活動をするのには、街全体が商業化されすぎていて、想像力を掻き立てられることがないとぼやくのをよく聞きます。トッドは17年以上長くニューヨークに住んでいますが、ニューヨークは未だに、新しい驚きと発見を見いだすことができるすばらしい街だと言います。特別な環境で美しいものを見つけるより、一見ありふれた日々の生活の中に感動をみつけられるトッドの目には、雨の雫はどんな宝石よりも輝かしくみえるのだろうなと思いました。雨に打たれる若者達を撮影した本作は、とてもシンプルな内容ですが、トッドの純真な心が感じられる遊び心に溢れた写真集です。

 

④ Floation Tank

ジャイルズ・カースルズ

自費出版

出版年:2015

部数:50 オリジナル・サイン・プリント付き

www.gilescassels.com

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「浮いたドラム缶」と名付けられた本作はおそらく、今回紹介させて頂く写真集の中で一番政治的な主張が強い作品です。フロリダで青年期をすごしたジャイルズは、自宅の側に建てられた夢の国の象徴であるディズニーワールドで10代の頃にアルバイトをした経験があります。そして、ディズニーが象徴する希望と自由と幸せに疑問を抱いていました。例えば、海は海でありそれ以上のものではないのに、ディズニーワールドのアトラクションで使われる海は、おそろしい程に魔術的な魅力に溢れた海に脚色されていることに、居心地の悪さと社会の欺瞞の影を感じ取ったからです。その経験は後も強く心に残り、アメリカの政治や経済のあり方ついて疑問をつのらせていきました。そして、 ディズニーを始めアメリカの商業主義がどんなに醜く他国を支配しているか、また、アメリカがとても軽薄な精神文化の上に成り立っているのか、またその社会に批判的な想い抱きながらも、安住している自分自身の立ち位置にも苛立を覚え、その気持ちを表現する為に本作は出来上がりました。

70年代ピクチャー・ジェネレーションの立役者の一人であり、アメリカ・ポップ・カルチャーが象徴をするモチーフを取り入れ、アメリカの資本主義やビジュアル・カルチャーを揶揄したリチャード・プリンスや政治問題、メディアの倫理、サブカルチャーなどをテーマに、主に広告写真を使いコラージュやモンタージュを制作したロバート・ハイネケンなどの伝統を受け継ぐかのようにジャイルズの本作は、現代アメリカの文化を象徴する作品で構成されています。映画や、テレビの画像や、道ばたに捨てられたミッキーマウスのぬいぐるみや、輝かしい未来の文明の証しである宇宙飛行士の赤オレンジのまばゆい作品が、スピード感溢れる断ち切りのレイアウトで力強く表現され、まさに作家自身の焦燥感を感じられる力強い写真集だと思います。「浮いたドラム缶」とは、きっと大きな海原に浮かぶアメリカの孤独な様子を例えているのかも知れません。もしくは、作家であるジャイルズ自身へのやるせない想いや孤独を表現した標題だと思いました。オリジナル・プリントが付いた本作は、4部作として発表されるシリーズの第一弾として50部のみ制作されました。今後期待の新人作家です。

 

⑤ Six Girls Six Cities

コール・バラシュ

出版社: A Love Token LTD

出版年:2015

版数:111

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www.colebarash.com

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アメリカに長く住んでいて気がついたことなのですが、アメリカは一芸、特にクリエイティブ系の才能に秀でる子供を育てるのに社会が、とても寛大であることです。日本の場合は、子供の適正を重んじるよりも、まず全ての分野の勉強を課することが第一ですが、アメリカでは、親も社会も学校も、子供の特殊な能力を延ばす為に、一つの狭い分野での活躍を10代の幼いうちから促進する傾向が強いように思います。わたしは、ひとつの分野に長く残りよい活動をする為には、多くの分野についても知識を持っている方が良い(教養は大事だと)と言う考えでまさに、日本の教育のありかたに賛成でした。

しかし、ダシュウッドを通し、10代の頃から自活をしながら好きなことに一心不乱に取り組み、20代の半ばまでに職業人(ミュージシャン、画家、写真家、デザイナー)として大成している多くの若者に出会い、社会に若い才能を受け入れる体制さえあれば、アメリカ流の教育のあり方はよいのではないかと思うようになりました。そして、彼らが生み出す作品は、若さの勢いと純真さに溢れていて、若いからこそ表現出来る瑞々しい感性に溢れています。そのような勢いのある作品は、頭でっかちで画一的な教育しか受けていない若者にはできない作品だと思うようになったからです。「Six Girls Six Cities」を今年3月初旬に発表したコールはまさに10代のうちから、自分の好きな写真だけに熱中に、突き詰めて行ったニュー・イングランド出身の若者です。コール自身がスノー・ボーダー、サーファーであり、16歳の頃から自分の撮った作品を多くのスポーツ専門雑誌に投稿し、親元を離れて撮影の仕事に従事することをしていきました。そんな、コールの本作は、妥協をしらない彼の性格をまさに反映する出来映えで2重露光の完璧な構成で制作されています。60年代のファッション・フォトグラファー、サム・ハスキンの「カーボイ・ケイト」「ファイブ・ガールズ」「ノーベンバー・ガールズ」を彷彿するようなクラッシックな女性のポートレイトに、各都市がもつダイナミックなエネルギーを合わせて表現した面白い写真集です。

前作「Talk Story」でハワイのサーファー、ジョン・ジョン・フローレンスのポートレイトは、まさにコールの専門分野での作品であるだけに、被写体との親密感が感じられ通常のサーフ写真集がドキュメンタリー性を強調しすぎるのに反し、コール自身の個人的な視点が組み込まれ見応えのある写真集でした。また「Talk Story Venice」は、ロスとニューヨークのギャラリーで展示会も開催され大成功を収めました。新作 「Six Girls Six Cities」で未知の領域にも挑戦しようとする意欲的な姿勢は、前回同様高く評価されることでしょう。

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ベスト・ブックスってなんだろう。

一人の作家が渾身の力を込めて制作した作品に、ベストと評することなど可能なのだろうか? 一体全体、他の作家と比べて、優越などつけられるのだろうか?

年末になると、欧米の写真業界では、今年度のベスト・ブックスを決定するサイトが数多く発表され、写真集コレクターから熱い注目が寄せられます。特にマーティン・パーが審査員として参加するPhoto-eyeのセレクションや、業界最大の機関であるパリ・フォト/アパチャーが選出したベスト・ブックスのコンテストには、写真家はもとより、出版者、編集者、デザイナーからも強い関心が寄せられます。でも、このベスト・ブックスのリストを絶対的な価値に基づいて決定されたリストとして考え、また今後の写真集の指標を示すイベントとして過大に重要視することに疑問を感じます。

私は、写真専門店で9年間働いて、現在まで、1万6千册以上の写真集の在庫管理をしてきました。単純に計算すると、1年間で1千7百冊以上の写真集を扱っていることになります。そのような、恵まれた環境にもかかわらず、私の知らない多くの素晴らしい写真集があること理解しています。その為、 ベスト・ブックスの選出を頼まれると、とても複雑な気持ちになります。

また、一冊ずつの本の違いは、写真家の個性によるもので、個性に優越はありえないと考えます。つまり、10人、写真家がいたら十人十色の物の感じ方があり、一方の表現の仕方が、他方より優れていると判断出来ないし、他方の表現方法だけだ、絶対的に美しいとか、正しいと示唆出来ないことだと思います。また、例えば、審査員が多くの人に賛同を得るような作品を入賞させたからといって、それが、少ない支持しか受けなかった作品より、優れているとも考えられないと思います。そして、作家の立場になったら(また、作家と一緒に制作した出版者にとっても)、疑問が残るのではないかと想像します。

だから、ベスト・ブックスという名目で写真集を選出することには、賛成出来ません。”選出者の個人的なもしくは、職業的な関心から、今年度、特に目にとまった作品”という、題目なら私も賛同出来るところがあります。私の考え方は、理屈臭すぎるでしょうか?

そんな折、2014年度のベスト写真集の選出することを、イギリスのフォト・ブックス・ストアーのマーティン・エーマス(Martin Amis)さんから、依頼を受けました。自分の複雑な心境を、マーティンさんに理解して頂いた上で、参加させて頂くことになりました。

私が今回選出した写真集のリストには一つの共通項があります。写真の作品としての完成度や、個性の強さは、もちろんですが、もっとも重点をおいたのは、作家と、出版社/デザイナーとの信頼から生まれるコラボレーションが、美しく結実した写真集であるということです。

作家との信頼は、一朝一夕に築き上げられるものではありません。また、デザイナーや編集者が作品を理解する力は、作品への情熱がなければ、発揮されることはありません。 私の狭い知識と浅い経験の中で、今回選ばせてもらった作品は、写真家一人では、作り上げられなかった世界観が、制作チームとのコラボレーションを通すことにより、さらに広がりをもつことができた作品です。

そして、英語で「MY 10 FAVORITE PHOTOBOOKS 2014」というタイトルを仮につけさせて頂きました。繰り返しになりますが、ベスト・ブックス・リストではありません。

 

MY 10 FAVORITE PHOTOBOOKS 2014

1.ジェーソン・ノシト PUD II (Dashwood Books, 2014)

特にニューヨークのような大都会では、自分の気持ちを正直に吐露したりすることは、滅多にありません。コミュニケーションは、感情を排除し、理性に基づいた思考を中心に繰り広げられます。最近のストリート・フォトは、一見、構成が整い美しいですが、逆に感情を押さすぎて、頭でっかちで、大人しい作品が多いように思います。それは、自分を100%全面に出さない方が、生きやすい世の中であるので、作家の態度が、そのまま作品に出ている為かもしれません。そうした流れの中、ノシトの PUD II は、一番、他人に見られたくない、一見、見苦しい感情(例えば、敗北感、絶望、激怒、感涙)さえも表した‘強い作品’だと思います。ニューヨークの大都会でノシトが激怒し、傷つき、打ちのめされた傷跡が作品からひしひしと伝わってきます。都会生活の現実を作家自身の感性/本能を通して表した本作は、近年発表されたニューヨーク・ストリート・フォトの中でも秀作の一つとして挙げられると思います。前回のブログにノシトのインタビューを記載しましたので、そちらの方もどうかご参照下さい。

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2. ジム・ゴールドバーグ, Rich and Poor (Steidl, 2014)

初版から30年後に制作された新装改訂版の本書は、新世代のコレクターの間で今年度、最も話題となりました。傑作は、やはり時間の洗礼を受けても多くの人に支持され、訴えかける力を宿していると思いました。フラクション・マガジンでゴールドバーグのインタビューを記載しましたので御参考下さい。 

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3.マルティナ・フォグランド・アイバノフ Speedway (Livraison, 2014)

アイバノフ のSpeedwayは、レーシング・カーの写真集です。スポーツ写真はドキュメンタリー性を追いすぎて、写真集として発表した際、芸術性に乏しい作品が多いように思いますが、アイバノフのSpeedwayは 作家自身の意匠に溢れ、まるで実験映画のようなユニークさがあります。出版者のヨハン・サンドバークとヘンリク・ティモネンのアート・ディレクションのよって、写真集の制作の行程が監修された為に、このような傑作が出来たのだと思います。

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4. Nobuyoshi Araki and Juergen Teller, Araki Teller, Teller Araki

(Eyesencia and Match and Company, 2014.)

荒木経惟と ヨーガン・テラー の共作は、アラーキーの長年の友人であり、編集者/キューレターの本尾久子さんの監修のもと制作されました。ご存知の通り、アラーキーもユーガンも多くの写真集を大手の出版社から発刊していますが、本作はその中でも、最高傑作だと思います。それは、本尾さんが誰よりもアラーキーの作品を理解し情熱をもって支えて来た為だと思います。ダシュウッドのオーナーのデビットが、本書を初めて手に取ったときに、「日本人は本当に、良い本の作り方を知っている」と呟いていました。

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5.トーマス・ルフ, Lichten (Roma, 2014)

オランダのローマ出版社の出す写真集は、どの作品も美しいのですが、特に、トーマス・ルフのような、アーティストの本を出すときにその力量が発揮されるように思います。ルフ程有名な作家ですと、当然多くの写真集を出していますが、私は本作を通して初めて、もっと作品について知りたいと思うようになりました。出版者、編集者と、デザイナーの選出は、写真家/アーティストにとり大切であると改めて考えさせられました。

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 6.渡辺克美, Rock Punk Disco (PPP Editions, 2014) 

日本人作家の写真集の出版は、海外の出版者も多く手掛けていて、その動きは日本写真の人気と比例し、年々盛んになっているように思います。その中で、ニューヨークの PPP Editionsの写真集は、群を抜いて素晴らしいと思います。出版者のアンドリュー・ロスの日本の写真に対する敬意と愛情に溢れた本作は、渡辺氏の73年に発刊された 『新宿群盗伝』(薇画報社)と並ぶ秀作だと思います。

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7. ケン・シュレス, Invisible City (Steidl, 2014)

ケン・シュレスの本作は、80年代のニューヨークの街を映した作品です。強いモノクロの作品は映画的な仕上りで、マーティン・スコセシの初期の映像を彷彿させます。(Who’s That Knocking at My Door, Mean Streets, and Taxi Driver) 都市の狂乱と悦楽を写し取った素晴らしい作品です。

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8.森栄喜Intimacy (Nanaroku-sha 2013)

森栄喜は、今一番注目されるべき新人作家だと思います。欧米のコレクターに彼の作品の素晴らしさを伝えたいといつも思います。特に、扇情的なイメージは無いのに、森さんが作り出す東京は 静かで幸福なエネルギーに満ち溢れ強く惹き付けられます。

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 9.横田大輔, Vertigo (Newfave Books, 2014)

古今東西、老若男女を問わず、仕事が出来る人、才能がある人は、本当によく働くなと思います。横田さん程、ここ2−3年のうちに数多くの展示会/アートフェアに参加し、写真集を出版した新人作家はいないと思います。横田さんのそのバイタリティーに心から感嘆します。本作は、長年横田さんを編集者として、またキューレターと支えて来た、大山光平氏の監修のもとに制作されました。数ある横田作品の中で本作が特に突出しているのは、作家と出版者の深い信頼と互いの仕事に置ける尊敬がある為だと思いました。 

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10. ブレッド・ロイド, Scugnizzi (Dashwood Books, 2014)

ナポリの自然に溢れた美しい風景の中で撮影されたストリート・キッズ( Scugnizzi : シュクニッツ)の生き生きとした姿を捉えたポートレイトは、イギリス人の若手写真家であるブレッド・ロイドが制作しました。本書は、ダシュウッドの出版の為に制作された新作です。 ユース・カルチャーや、ビーチ・ピクチャーを撮影した多くの秀作は歴史上多くありますが、 Scugnizzi もそれに劣らぬ秀作だと思います。

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MY 10 FAVORITE PHOTOBOOKS 2014

1. Jason Nocito, PUD II (Dashwood Books, 2014)

Nobody, especially in a big city like New York, talks about their feelings; only their thoughts. Everything, including photography, tends to become carefully calculated and overly diplomatic, or quiet. Probably because it is easy to be less personal or emotionally available to the viewer. On the other hand, Jason Nocito’s PUD II stands fearlessly and loudly – suggesting an almost aggressive yet vulnerable sensibility, without any hesitation. Using bold color combinations and facing the subject straightforward from his pure internal voice, PUD II eloquently portrays the reality of contemporary urban life and introduces a fresh perspective into the long tradition of New York street photography.

2. Jim Goldberg, Rich and Poor (Steidl, 2014)

Although three decades have passed since its original publication, this new, expanded edition of Jim Goldberg’s Rich and Poor continues to resonate truth in many people’s hearts and attracts a new generation of photo-book lovers. This is proof of a masterpiece.

3. Martina Hoogland Ivanow, Speedway (Livraison, 2014)

Unlike much sports photography, Martina Hoogland Ivanow’s Speedway is creative and original, akin to experimental theater. Her artistic talent couldn’t be fully realized without the sincere understanding of her work by her publishers Johan Sandberg and Henrik Timonen’s editing and art direction.

4. Nobuyoshi Araki and Juergen Teller, Araki Teller, Teller Araki (Eyesencia/Match and Company, 2014.)

Despite the difficulty of combining two photographers’ works, Araki Teller, Teller Araki successfully marries their images while being elegant and harmonious. That is because this title was conceived by Araki’s long-time friend/curator, Hisako Motoo, in collaboration with the designer Satoshi Machiguchi (published on the occasion of the exhibition, Araki Teller, Teller Araki at OstLicht in Vienna in spring, 2014).  Dashwood’s owner David Strettell’s first response to seeing this title was “The Japanese do know how to make a beautiful book”, and attests that this is one of the best of their publications.

5. Thomas Ruff, Lichten (Roma, 2014)

Roma has become an important art-publisher – and this Thomas Ruff title is a great example why this is true. Through this book I appreciate Ruff’s art more than ever – and I am now motivated to learn more about his work. 

6. Katsumi Watanabe, Rock Punk Disco (PPP Editions, 2014) 

Outside of Japan, no publisher other than PPP Editions conceives the most beautiful Japanese photo-books. Publisher Andrew Roth’s deep appreciation of Japanese photography makes this publication as vibrant and exciting as Watanabe’s first Shinjyuku book, Shinjuku Guntoden 66/73 / Shinjuku Thievery Story 66/73 (Bara-gaho-sha, 1973). 

7. Ken Schles, Invisible City (Steidl, 2014)

Ken Schles’ strong renderings of ’80s New York photography appear to be cinematic – and can be compared to Martin Scorsese’s films such as Who’s That Knocking at My Door, Mean Streets, and Taxi Driver. Schles’ newly reissued Invisible City straightforwardly captured the ecstasy and despair which his beloved city screamed of. 

8. Eiki Mori, Intimacy (Nanaroku-sha 2013)

Eiki Mori is one of the most important young Japanese photographers working today he captures the reality of the contemporary Tokyo scene. Without drama or shock, Mori induces the viewer into his peaceful and tranquil world. 

9. Daisuke Yokota, Vertigo (Newfave Books, 2014)

I very much respect Yokota’s vitality and integrity to create so many books over the last couple of years. Among his publications, Vertigo best presents his rigor and capacity as a talented, emerging artist. This beautiful publication must be the result of a close collaboration with his publisher, Kohei Oyama. Oyama is the one of the first curators/publishers who recognized Yokota’s talent and supported his work for the past eight years. 

10. Brett Lloyd, Scugnizzi (Dashwood Books, 2014)

Scugnizzi is an ambitious project by a young British photographer, Brett Lloyd, as it deals with two important themes in history of photo books: youth culture and beach imagery. There have been many masterpieces that dealt with these subjects including Lisette Model‘s Lisette Model (Aperture, 1979), Danny Lyon’s Bikeriders (MacMillan/Collier Books, 1968), Karlheinz Weinberger’s Photos 1954-1995 (Scalo, 2000), Bruce Gilden’s Coney Island (Trebruk Publishing, 2002), and Joseph Szabo’s Teenage (Greybull Press, 2003). His portraits of young people on the beaches of Naples are realistically alive and naturally glorious and they are created through his pure curiosity and excitement about landscape. It is an absolute joy to discover that Lloyd’s Scugnizzi is in the same league he should be recognized as one of today’s most talented young photographers. 

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「あなたの国籍はなんですか」オーナーがイギリス人であるニューヨークの写真専門書店で、特に日本人である必要のない、マネージャーのポジションについている為かこの質問を私は頻繁に受けます。「日本人です」と答えたとたん、相手はステレオ・タイプな日本人像を私に重ね、「じゃあ、働き者なのも日本人だからあたりまえだね」「だから、そんなに丁寧なんだね」「お寿司とか、うなぎとか、そばとか大好きでしょう?」というような返答を受けます。私は、確かに働き者かもしれないけれども、なまけものの日本人も多く知っているし、私以上に働き者のアメリカ人や、ヨーロッパ人だって知っています。私は、対応は丁寧かもしれませんが、仕事のやり方は大雑把で、細かい作業をこなすのは得意ではありません。そして、お寿司や、うなぎは嫌いではありませんが、日本食の中で一番興味がないメニューで、自分からレストランで頼んだ事など一度もありません。仮に私が、違う国籍(例えば、イラク人、フランス人、ロシア人だったら)であると答えたら、どんなステレオ・タイプな返答が返ってくるのだろうかと想像する事があります。肩書きや、国籍や、年齢や、性別は、確かにある傾向を示す指標になることは認めますが、それが、その人を理解する全てに繋がる事はありません。どこの国籍で、結婚しているかとか、年齢がいくつだとかの情報で、瞬時に人を判断し、その人が、どんなことを考え感じるのかを理解していく可能性を、遮断してしまう事はとても残念な事です。私は、ステレオ・タイプに判断される事で、複雑な気持ちになることを経験しているので、収入とか、学歴とか、会社とか、国籍とか、年齢とかで他人を判断しない人を自分の友人としています。みなさんは、いかがですか? 日本に過ごしていると、なかなか国籍を聞かれる機会は少ないと思いますが、肩書きだけで、ステレオ・タイプに人を判断して、その人の中身までも、とても狭い範囲で捉えていませんか?分類分けをしたとたんに、全てを知った気になり、その時点で思考停止に陥って、相手の気持ちを理解する事を怠っていませんか?自分の感性と知性を使って、まっさらな気持ちで初めて会う人にする事は出来ていますか?多くの素晴らしい人にこれからも出会っていくために私自身も、初めて会う人には特に、素直で、オープンな態度で接することができたらと思っています。

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今回紹介したい写真集は、ニューヨーク出身の写真家、ジェーソン・ノシトの新作PUD IIです。『PUD II』は、アパチャーから2008年にティム・バーバーの監修のもと発刊された、『Load』、ダシュウッド・ブックスから出版されたI Heart Transylvania(2011)、『PUD』(2014)に次ぐ第4作目の写真集です。自宅のベランダでタバコを吹かしたり、ベットで横たわる妻のメーガンや、タバコの吸い殻や、オイルの溜まった道路の汚水、街に飾られたサインボードなど、全ての作品はニューヨークで撮影されました。ジェーソンは、いわゆる、ゲーリー・ウィノグランドやレゼット・モデルのような古典的な意味でのストリート・フォトグラフィーでも、リチャード・ミズラックやロバート・アダムスのような社会派のドキュメンタリー作品を撮る作家でも、タリン・サイモンやサム・フォールズのようなコンセプチャル・アートとしての写真を制作するアーティストでもありません。また、もちろん、アマチュア写真家がiphoneで撮影するようなスナップ・ショットを撮る作家でもありません。もし、無理矢理、彼の作品を分類分けするとしたら、”現代版/私的ストリート・フォトグラフィー”と命名するのが適当であるようですが、ジェーソンの作品から発せられる痛々しいまでの生のパワーを感じた時に、そのような作業は甚だ意味であると感じます。黄と、緑と、ピンク色の得体のしれない物質の化学反応で変色した汚水と、浅黒く妖艶な肢体を露す妻のポートレイトや、不吉な未来を暗示するような黒い雲の写真から、やるせなく、辛く、きつく、緊迫した印象を受けます。日々の生活を謳歌した、人生万歳の作品ではなく、ジェーソンのまなざしは、とりとめもなく、しかし必然的に流れている時間の中で、大都会ニューヨークに渦巻く人々の焦燥や混沌とした精神状態を描いているようです。実は、ジェーソンはDE REPSに所属しリーバイス、ナイキ、アップル、キャノン、ソニー、コンバースなど数々の大企業の広告の仕事を手がける商業写真家の一面をもっています。その一方で、昨年には、ニューヨークのフォール・ギャラリー、ロサンゼルスのM+B ギャラリーのグループ展にライアン・マッギンリーやエド・テンプルトンら同時代のアーティストとともに参加し、精力的に作家活動も行っています。コマーシャルの仕事とアーティストとしての活動とのバランスの取り方、また、作品の制作の姿勢などをインタビューしてみました。この、記事を通して、より多くの皆さんに、ジェーソンの作品を紹介できたらと思っています。ダシュウッドでは、来る10月16日にサイン会を開催する予定です。サイン本はダシュウッド・ブックスのサイト から予約販売しています。ニューヨークにいらっしゃる方は是非遊びに来て下さいね。

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INTERVIEW with JASON NOCITO

須々田(以下Sと表記)「ジェーソンはどこで生まれ育ったのですか?どのような、きっかけで、写真に興味を抱くようになったのでしょうか?また、どのような姿勢で作品の制作をしているか、教えて下さい」

ジェーソン(以下Jと表記)「マンハッタンから車で約30分ほど離れたロング・アイランドのミネオラという小さな田舎町で生まれ育ちました。4歳位の時に家にあったカメラを使い始めましたが、実際に自分自身のカメラを手に入れて撮る事を始めたのは15歳の時です。空軍に所属する兄から譲り受けたカメラでした。16歳の頃には、一人暮らしを始め、友達とパーティー三昧の日々を過ごしていました。そんな、生活の中で、友達のポートレイトを撮ったりする事をいつもしていました。その後、FITで写真と絵画を、パーソンズで写真を専攻し、アカデミックなやり方で写真を撮る事を学びましたが、まず、コンセプトやプロジェクトを立てて作品を作る事は、自分のスタイルでない事に気が付きました。自分が撮りたい物は、自分自身の人生の一部としてある物で、それは私自身であり、それ以上でないと思うからです。だから、”自分”が今、どの瞬間に、どこで、何を感じ、考えているかが作品に現れればそれで、十分だと思っています」

S「”PUD”や”PUDII”を制作することになった経緯を教えて下さい」

 

J「踏襲的な意味ではない、ニューヨークのストリート・フォトグラフィーや、ポートレイトを撮影する事に興味があって、PUDを制作しました。PUDシリーズは、全部で3部作にしようと思っています。3部、制作する事で、より内容の濃い物が出来るように思い、とても楽しみにしています。この、写真集はダシュウッド・ブックスから出版されていますが、写真集や、写真についてとてもよく理解している友人のアリ・マルコポロスとカミラ・ベントゥリーニと共に、編集、デザインの作業を進めました。自分の作品を任せるのに、心から信頼を抱いている友人と今、写真集を制作できて心から嬉しいです」

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S「写真家を志す、若い作家にアドバイスはありますか?かなり、忙しいコマーシャルの仕事をこなす傍ら、とても、精力的に作家活動されている、その秘訣はありますか?」

 

J「秘訣なんてないよ!(笑)でも、いつも心がけているのは、自分がいま、何が出来ていなくて、何をやらなかったかではなくて、今自分は、何をする事が出来て、何を実際やっているかに意識を向けるようにしています。自分の制作に時間を多く費やし、その他の無駄な時間を極力なくすようにしています。時間を最大限に有効に使う事も大事ですね。でも、一番大事なのは、楽しみながら何でもやる事だと思っています」

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S「写真家として、一番楽しいと思う瞬間は、どんな時ですか?」

 

J「写真を撮るという過程全てが楽しいと思います。なぜなら、自分の頭の中や、心の中で描いた物とは、全然違う物が撮れたりするから、飽きる事がありません。その瞬間に自分が立ち会っているという実感に興奮を覚えるし、喜びを感じます」

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S「好きな作家の方がいましたら、教えて下さい」

 

J「ロバート・フランクのモノクロの作品は全て好きだし、マイケル・シュミットの「Unity」や「Waffenrhue」には、自分の写真集のコレクションの中で好きです。また、日本の作家では、北島敬三の東京:写真特急便」にはその作品の力強さに心を強く奪われました」

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※日本語の翻訳部分は、文章を分かり易くするため、一部意訳した箇所がありますので、予めご了承下さい。以下が実際の英語のインタビューです。

 

【Interview in English】

S (Susuda): Congratulations on your new publication on PUD II.  Today, I would like to ask you a couple of questions and get to know you better,, May I first ask where you were born? Would you tell me about how you encountered photography and what was your initial project you took as a photographer?

J (Jason): I was born in Long Island NY, a suburb called Mineola about 30 minutes outside of NYC.  I found cameras and photography very interesting from the first time I saw a camera which was when I was very young around 4 or so.  But it wasn’t until I was 15 that I received my first camera, a hand me down from my older brother who was leaving for the air force ad around 16, I started living alone and got really into partying and handing out with my friends and taking photos the whole time.  I’ve never really been interested in the project idea for photography.  Doing projects isn’t how I think about making pictures.  What was intriguing more than and still now is making it a part of my own life, my daily practice.  All the photos I make are born out of where I am both physically and mentally.

S: Please tell me about PUD project.  Why do you decide to make PUD2?  How would you choose an editor/designer?  Would you find making the book important?  Do you enjoy making your own book and having your exhibition?

J: PUD came out of me figuring out how to make pictures in NYC that weren’t just traditional street photographs or portraits.  It came of a long period of me living between Vancouver and NYC for 4 years.  During that time, I made the work for my first 2 books “Load” (aperture) and “I heart Transylvania” (Dashwood Books) and after about a year or two of living back in NYC, I started making the work that eventually become part of PUD I and now PUD II and eventually PUD III (the PUD trilogy).  Doing it in a 3 part series gives me a chance to play more.  Ari and Cammila got involved because I asked for their advice on some things and they were very interested and both know a lot about photography and books!  So it seemed like a natural fit.  Having a show and having a book are both important at the moment.  Making the work is most of what I’m concerned with.

S. For may upcoming young photographers, would you have any advice?  What drives you to work so well and hard?  Any secret?

J: ha ha no no secrets.  I think spending many years in therapy talking about my life and always thinking/looking at what you are doing rather than what you are not doing is a good start.  Cutting out the stuff that’s not productive and using your time as best as possible.  But also having fun doing is!

S. What the most challenging/enjoynment do you experience thru taking a photo?

The process is it for me,,,It’s unpredictable and that’s what intrigues me. You can have something in your head and what you get some out  are completely different.  It’s fun and always exciting to be in the moment.

S. Who is your favorite photographers?  Which book do you like best?

J. I love Germans.  Michael Schmidt’s “Unity” and “Waffenrhue ” both had a heavy effect on my brain as well as Robert Frank’s black and while photography.  I like Japanese photographers very very much.  I esp. love Kitajima’s magazine work book.  The energy in all the books I’ve seen of his seem other worldly!

S. May great contemporary photographers, Jurgen Teller, Ari Marcopolous, Viviane Sassen and you are all very active in commercial photography, too.  However, I know some photographers really dislike doing any commercial work.  What do you think about fashion photography?  Do you think it is just boring to you?  Do yo enjoy making fashion photos?

J. As far as fashion photography goes I think, it’s the most fun work you can do when it comes to doing commercial work.  It has the most freedom and the people you usually with tend to be of the same mindset.  But all work the work I do commercial purposes has a certain ceiling…and that’s why I enjoy working so much outside of it to expand my own ceiling and see what I can come up with.

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