さよなら、ウォルフシュミット

「何と、何と、64年振りの夢叶う! ウオッカ先頭!」

 

2007年のダービーでは、 並みいる牡馬を一蹴した女馬、ウオッカ。

父のダービー馬、タニノギムレットよりも強くなってほしいという願いから、ギムレット(=ジンベース)よりも強いウオッカと命名。タニノウオッカにせず、ただウオッカにしたのは、カクテルにせず、ストレートのままのほうがより強いだろうという理由だとか。

こうした単純なネーミングのほうが、熟考した名前の馬よりも強い、ということはよくあることです。それにしてもこのウオッカ。ダービーを制しただけではなく、天皇賞やジャパンカップも勝ってしまうのだから、とてつもない名牝です。サッカーに例えたら、中村俊輔からトップ下の座を奪い、ワールドカップでベスト8に入る活躍をする澤穂稀というところでしょうか。例えが悪くて余計わかりづらくなりました、ね。

当時、独り者の私の楽しみは週末の夜に酒を吞みながらの競馬予想。しかし、私はこのウオッカの馬券を一度も買ったことがありません。馬券的中の才能がないことをウオッカによってとことん教えられた私はその後、競馬は観るだけ、にしております。よって、週末の夜も酒を吞むだけ。

そんな時に、背の高いロン毛のスタイリストさんから教えてもらったのが、「ウォルフシュミット」。ロシア生まれ、アメリカ育ちのウオッカです。これが、美味い! すっきりして雑味がまったくない。それでいて、どこか味わい深い。以来、ウォルフシュミットのソーダ割が、競馬新聞の代わりに、寂しい私の相手をしてくれました。

 

ところが!

このウォルフシュミット が数年前から、入手しずらくなったのです。輸入元のメルシャンが仕入れを中止。しかたなく、ネット通販にて取り寄せてい吞んでいました。背の高いロン毛のスタイリストには「よく、家でウォッカソーダなんて吞めるね」と一人の寂しさを理解していただけなかったのですが、たいへん美味しくのませていただいていました。

しかし、何と!

ついにアメリカでも生産中止という知らせを聞きました。もともとアメリカも東部でしか出回っていなかったウォルフシュミットですが、ニューヨークではどんな小さい酒屋でも売っているようなポピュラーな酒だったのに、なぜ生産中止になったのか、理解できません。もうアメリカ人はハードリカーを吞まなくなったのでしょうか?

 

今、我が家には最後のウオッカが残りボトル1/3となりました。アメリカでの生産中止を耳にしてからは、もったいなくて吞んでおりません。今更スミノフやストリチナヤなんて吞めないし、いよいよ、競馬新聞に続いて、ウオッカソーダも僕から離れていってしまいます。マイ・スタンダードがなくなるというのは、本当に寂しい思いにさせられます。歳をとるというのは、こういうことなんでしょうか。

 

と、言いながら、昨夜一杯だけ、吞みました。うん、うまかった。馬、勝った……。

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